ABSTRACT 1238(P4-10)
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甲状腺疾患におけるテロメラーゼ活性-CD44 variant exon発現との比較検討-:青儀健二郎、金 隆史、吉田和弘、峠 哲哉( 広島大・原医研・腫瘍外科 )

Telomerase actitivity and CD44 variant exon expressions in thyroid cancer and benign lesions : Kenjiro AOGI, Ryungsa KIM, Kazuhiro YOSHIDA, Tetsuya TOGE( Dept. of Surg. Oncol., Res. Inst. Rad. Biol. Med., Hiroshima Univ. ) 

【目的】甲状腺癌及び良性疾患におけるテロメラーゼ活性及びCD44 variant exon発現を切除甲状腺凍結組織を用いて検討した。併せてfine needle aspirate ( FNA ) サンプルのテロメラーゼ活性も検討した。【方法】CHAPSを含む抽出液にて甲状腺組織及び細胞を処理後、テロメラーゼ活性をtelomeric repeat amplification protocol ( TRAP ) assayで測定した。FNAサンプルはスライド塗沫後の遺残細胞を用いた。CD44 variant exon発現はexon7, 8, 11probeを用いたRT-PCR/ southern blot法にて検討した。【結果】凍結組織は癌12例( papillary 5例, follicular 3例, anaplastic 2例, medullary 1例, Hurthle cell 1例 )、良性症例18例( adenoma 11例, Graves病 2例, hyperplasia 2例を含む )から成り、癌症例中9例( 75.0% )、良性症例中2例( 11.1% )がテロメラーゼ活性陽性であり、良性例はいずれも組織中リンパ球浸潤を伴うGraves病症例であった。一方CD44発現においては癌症例中exon7で9例( 75.0% )、exon8で11例( 91.7% )、exon11で10例( 83.3% )陽性、良性症例ではそれぞれ5例( 27.8%)、11例( 61.1%)、7例( 38.9%)陽性であり、exon7及び11が癌特異的であっであった。さらにFNAサンプル56例のテロメラーゼ活性は、最終診断で癌であった6例中5例( 83.3% )、疑診症例5例中3例( 60.0% )が陽性であったが、良性45例中3例( 6.7% )でも陽性で、いずれもHashimoto病であった。【結論】甲状腺癌におけるテロメラーゼ活性はCD44 variant exon発現と比較しても充分癌特異的であり、特にFNAサンプルにおける活性測定は臨床的に有意義であると思われた。しかしリンパ球浸潤を伴う良性疾患では慎重な診断が必要と思われた。