ABSTRACT 1240(P4-10)
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胃癌患者におけるテロメラーゼ活性の検出−腸上皮化生, 慢性胃炎との比較検討−:亀嶋秀和1, 八木橋厚仁1, 矢嶋知己1, 小林大介1, 渡辺直樹1, 伝野隆一2, 平田公一2 (札幌医大検査部, 札幌医大第1外科)

Telomerase activity in gastric cancer patients-detection in intestinal metaplasia, chronic gastritis- : Hidekazu KAMESHIMA1, Atsuhito YAGIHASHI1, Tomomi YAJIMA1, Daisuke KOBAYASHI1, Naoki WATANABE1, Ryuichi DENNO2, Koichi HIRATA2 (1Dept. of Lab. Diag., 21st Dept. of Surg., Sapporo Med. Univ.)

【目的】良性疾患や前癌病変におけるテロメラーゼ活性の発現については, いまだ不明な点が少なくない。本研究では, 胃癌患者の手術材料における癌および非癌組織のテロメラーゼ活性値を定量化し, 各種背景因子との関連について比較検討した。【対象・方法】胃切除術を施行した胃癌患者27例を対象とし,各手術材料より癌, 腸上皮化生,慢性胃炎, 正常粘膜を採取後, H-E染色で確認した。テロメラーゼ活性の検出はTRAP(Telomeric Repeat Amplification Protocol)法で行い, 内部標準で補正後, テロメラーゼ活性値TPG(Total Product Generated)を算出した。【結果】(1)癌,腸上皮化生, 慢性胃炎, 正常粘膜の各組織におけるTPGは, それぞれ, 33.7±29.5, 16.7±12.8, 10.6±9.2, 3.5±2.6であった。(2)癌組織のTPGは, 腫瘍径, 壁深達度, リンパ節転移の有無, stagingで差異はなかった。(3)一方, H.pylori感染群や分化型胃癌群で, TPGが高い傾向を認めた。とくに, 分化型胃癌症例の腸上皮化生組織では, H.pylori感染群が高値を示した。(4)また, テロメラーゼ活性値とテロメラーゼRNA(hTR)との間には相関関係がみられなかった。【結語】胃癌のみならず前癌病変組織においても, テロメラーゼ活性の誘導が確認された。