ABSTRACT 1241(P4-10)
胃粘膜及び胃癌におけるテロメラーゼ触媒サブユニットTERTの発現:安井 弥1、田原栄俊2、田原栄治2、松谷憲政1、中山潤一3、石川冬木3、井出利憲2、田原榮一1(1広島大・医・1病理、2広島大・医・総合薬、3東京工大・生命理工)
Expression of telomerase catalytic component, TERT, in human gastric mucosa and carcinoma : Wataru YASUI1, Hidetoshi TAHARA2, Eiji TAHARA2, Norimasa MATSUTANI1, Jun-ichi NAKAYAMA3, Fuyuki ISHIKAWA3, Toshinori IDE2, Eiichi TAHARA1 (11st Dept. Pathol., Hiroshima Univ. Sch. Med., 2Dept. Cell. Mol. Biol., Hiroshima Univ. Sch. Med., 3Dept. Life Science, Tokyo Institute of Technology)
[目的] テロメラーゼは細胞の不死化を介して癌化に関与する。今回、胃粘膜と胃癌におけるテロメラーゼ触媒サブユニットTERTの発現を検討した。[材料と方法] 内視鏡的あるいは手術的に採取された胃粘膜と胃癌組織(20例)について、TERTの発現をRT-PCR法、Western blot法および免疫組織化学的に検討し、テロメラーゼ活性と比較した。[結果と考察] 胃癌の90%でテロメラーゼ活性の亢進があり、95%においてTERT mRNAの過剰発現が認められた。TERTの発現は蛋白レベルでも確認され、癌細胞の核に強く発現していた。TERTは、リンパ球を除く間質細胞には陰性であったが、弱い発現は胃底腺および腸上皮化生の下1/3に認められた。この胃粘膜でのTERTの発現は、胃における幹細胞の存在、粘膜上皮細胞の分化と癌の発生を考える上で興味深い。