ABSTRACT 1244(P4-10)
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成人T細胞白血病(ATL)におけるテロメアの検討:久冨木庸子1、松岡 均2、山下清1、鈴木斎王1、岡山昭彦1、坪内博仁11宮崎医科大学第二内科、2同心会古賀総合病院)

Telomerase activity and TRF-1mRNA in adult T cell leukemia : Youko KUBUKI1, Hitoshi MATSUOKA2, Kiyoshi YAMASHITA1, Muneou SUZUKI1, Akihiko OKAYAMA1, Hirohito TSUBOUCHI 1 (1Department of Internal Medicine II, Miyazaki Medical College, 2Koga General Hospital)

【目的】テロメアは染色体を維持するのに必須な要素の一つでテロメラーゼ活性の高い腫瘍細胞ではゲノム異常が高頻度で起こることが知られており、腫瘍の悪性化の一翼を担っていると考えられている。また、テロメア結合蛋白(TRF-1)はテロメア伸長の阻害因子であり、テロメア調節機構において重要な役割を果たしている。ATLはHTLV-1を病因とする難治性疾患であり、種々のゲノム異常がみられるが、発症機構の詳細は不明である。ATL細胞の癌化、不死化機構にテロメラーゼ活性、TRF-1 mRNAが関与しているかどうかを検討した。【対象と方法】対象はATL 20例(急性型12例、慢性型6例、くすぶり型2例)、HTLV-1キャリアー6例、対照健常者9例。末梢血単核球を用い、テロメラーゼ活性はTRAP法で半定量的に測定し、TRF-1 mRNAの発現はRT-PCR法で測定した。【結果】ATL患者のテロメラーゼ活性は対照健常者より高く、特に急性型で高かった。ATL患者およびHTLV-1キャリアーのTRF-1 mRNAレベルは、対照健常者に比較して高かったが、ATLの病型別に差がなかった。【考察】テロメラーゼ活性はATLの病型と関連しており、TRF-1 mRNAレベルはATLのみならずHTLV-1キャリアーでも高く、HTLV-1感染がテロメア調節機構に影響をおよぼしている可能性が示唆された。