ABSTRACT 1245(P4-10)
ヒト子宮内膜癌および正常子宮内膜におけるテロメラーゼ活性とサブユニットRNAの発現について:高橋雄一郎、横山康宏、玉舎輝彦(岐阜大、産婦)
Telomerase activity and expressions of hEST2/hTRT, hTR and TP-1in human endometrium and neoplasia:Yuichiro TAKAHASHI,Yasuhiro YOKOYAMA,Teruhiko TAMAYA (Dept. of OB/GYN, Gifu Univ. Sch. of Med.)
[目的]テロメラーゼは一分子のRNA成分と多くの機能蛋白質成分から構成される。その活性は一般に癌や生殖細胞において高率に認められると報告されている。我々は以前テロメラーゼ活性は子宮体癌において高率に認められるが、正常子宮内膜においても増殖後期から、分泌前期にかけて強陽性となることを報告した。今回我々は、子宮体癌と、正常子宮内膜の各周期におけるテロメラーゼの構成成分のRNAの発現を検討し、テロメラーゼ活性との相関を比較検討した。[方法]子宮体癌16例、正常子宮内膜38例よりtotal RNAを抽出した。total RNAを20μg、1.0% RNA gelにて電気詠動しナイロンメンブレンにトランスファーした。ヒトテロメラーゼの主要成分であるhTR, hEST2/hTRT, TP-1についてNorthern blottingを行った。[結果]子宮体癌においてはすべてにhEST2mRNAの発現を認めた。正常子宮内膜においては、増殖初期、分泌後期にはほとんど認められなかったが、増殖後期、分泌初期には、明らかな発現を認めた。[考察]テロメラーゼの酵素活性成分であるhEST2/hTRTのmRNAの発現量が最もテロメラーゼ活性と相関した。特に正常子宮内膜においてhEST2/hTRTの発現がテロメラーゼ活性の性周期の変化と相関が認められたことで、テロメラーゼ活性の性周期性変化は、主としてhEST2/hTRTの発現によって制御され、しかもその発現は卵巣ホルモンによって調整されている可能性が示唆された。