ABSTRACT 1246(P4-10)
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上皮性卵巣癌の発生・進展とテロメレース活性: 大石徹郎,島田宗昭,高橋正国,金森康展,皆川幸久, 紀川純三,寺川直樹 (鳥取大・医,産婦)

Alteration of telomerase activity associated with development and extension of epithelial ovarian cancer : Tetsuro OISHI, Muneaki SHIMADA, Masakuni TAKAHASHI, Yasunobu KANAMORI, Yukihisa MINAGAWA, Junzo KIGAWA, Naoki TERAKAWA (Dept. of Obstet. Gynecol. Tottori Univ.)

[目的]上皮性卵巣癌の発生・進展とテロメレース活性との関連を知ること.[方法]上皮性卵巣癌41例(I期 8例,II 期 1例,III 期 30例,IV期 2例),境界悪性腫瘍3例,良性卵巣腫瘍2例(漿液性腺腫)および正常卵巣3例の表層上皮を対象とした.TRAP法によりテロメレース活性を検出し,検出例ではNIHimageを用いてInternal Telomerase Assay Standard に対する活性強度の相対値を算出した.SSCP 法によりp53遺伝子変異の有無を検索した.テロメレース活性の検出率および活性強度を各病変において比較検討するとともに,卵巣癌症例における予後因子との関連を検討した.[成績]テロメレース活性は上皮性卵巣癌の80.5%と境界悪性腫瘍の66.7%に検出されたが,良性卵巣腫瘍および表層上皮では検出できなかった.卵巣癌のテロメレース活性強度は境界悪性腫瘍に比して有意に高かった (12.1 vs 3.6).テロメレース活性の検出率は,卵巣癌の臨床進行期,組織分化度,リンパ節転移の有無および生存率と関連を示さなかったが,テロメレース活性強度はIII・IV期症例とリンパ節転移陽性症例で有意に高かった.卵巣癌のp53遺伝子変異とテロメレース検出率との関連はみられなかった.[結論]テロメレース活性は上皮性卵巣癌の予後因子とはならなかったが,その発生と進展に関与する可能性が示唆された.