ABSTRACT 1248(P4-10)
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癌、良性病変および正常組織におけるtelomerase subunitの発現とその診断意義:京  哲1、金谷太郎1、高倉正博1、石川博士1、伊藤秀明2、並木幹夫2、井上正樹1、(金沢大1産婦人科、2泌尿器科)

Expression of telomerase subunits in malignant, benign and normal tissues and its significance in cancer diagnosis: Satoru Kyo, Taro Kanaya1, Masahiro Takakura1, Hiroshi Ishikawa1, Hideaki Ito2, Mikio Namiki2, Masaki Inoue1, (1Dept. of Obstetrics and Gynecology, 2Dept. of Urology, Kanazawa Univ)

【目的】癌、良性病変、正常組織におけるヒトtelomerase構成成分 hTERT, TP1, hTRの発現を調べ、テロメレース活性との関係および癌診断への有用性ついて検討を加えた。
【方法】子宮頚癌25例、正常子宮頚部14例、子宮体癌23例、正常子宮内膜32例、卵巣癌44例、卵巣低悪性度癌6例、良性卵巣嚢腫11例、正常卵巣12例、膀胱癌33例および腎癌28例とその近傍正常部を対象に各subunitの発現をRT-PCR法で調べた。また各組織のテロメレース活性はTRAP法で検討した。さらに子宮頚部擦過細胞、尿沈査成分からRNAを抽出し、RT-PCR法により各因子の発現を調べ、癌のscreeningへの応用を試みた。
【結果】hTERT mRNAの発現は各種癌の80−90%に認められたが、良性、正常組織では20%以下であった。これに対しhTRおよびTP1 mRNAの発現は癌、良性、正常組織とも90%以上に認められた。組織のテロメレース活性はhTERTの発現と極めてよく相関していたがhTRおよびTP1 mRNAの発現とは相関しなかった。しかし一部の症例ではテロメレース活性とhTERTの発現に解離が認められた。子宮頚部擦過細胞および尿沈査成分を用いた検討では子宮頚癌および膀胱癌症例の70−80%にhTERT mRNAの発現が認められたのに対し、正常患者検体では発現を認めなかった。
【結論および考察】hTERT mRNAの発現はテロメレース活性の決定因子であり、癌診断に有用である。今後テロメレース活性とhTERTの発現の不一致例をさらに詳細に検討する必要がある。