ABSTRACT 1249(P4-10)
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各種Cell LineにおけるTelomerase catalytic subunit mRNA 量とテロメラーゼ活性
長尾 久美、久富 寿、引地 一昌((株)エスアールエル 遺伝子・染色体解析センター)

Levels of telomerase catalytic subunit mRNA in several cell line.
Kumi NAGAO, Hisashi HISATOMI, Kazumasa HIKIJI (Center for Molecular Biology and Cytogenetics, SRL, Inc.)

[目的] 癌細胞に高率に活性が確認されるテロメラーゼは活性発現部位の特異性や病態との良好な相関などから有用な腫瘍マーカーとして注目されている。テロメラーゼの活性はtelomerase catalytic subunitである Telomerase Reverse Transcriptase (hTRT)によって調節されていると考えられており、hTRTの発現量の測定はテロメラーゼ活性の測定にかわる有用な遺伝子マーカーとして期待されている。本検討では各種Cell Lineにおけるテロメラーゼ活性およびhTRT mRNA量を調査することにより、hTRT mRNA量の測定がテロメラーゼ活性と同様に悪性度診断への利用が可能か否かを考察した。
[方法] ヒト肝癌由来細胞株HepG2、ヒト乳癌由来細胞株MCF-7、ヒト子宮頚癌由来細胞株HHUAを2mM Hydroxyurea存在下で24時間培養し、G1/S期に同調した後、一般培養に戻し、24時間後に回収しテロメラーゼ活性およびhTRT mRNAを測定した。テロメラーゼ活性はTRAP-ezeを用いたFluorescence-based TRAP法で、hTRT mRNAはReal-time PCR法で定量した。
[結果] テロメラーゼ活性とhTRT mRNAはいずれのCell LineでもCell 数の減少とともに低下傾向を示したが、Cell Lineの種類によってはテロメラーゼ活性およびhTRT mRNA量はまちまちであった。テロメラーゼ活性とhTRT mRNAの相関は概ね良好で、相関係数も高いことからhTRT mRNAの測定はテロメラーゼ活性と同様、遺伝子マーカーとして有用であることが示唆された。現在他のCell Lineのデータを蓄積中である。