ABSTRACT 1253(P4-10)
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気管支擦過細胞を用いた肺扁平上皮化生におけるテロメラーゼ活性:垣花昌俊1、八幡尚之2、岩間博士2、嶋本隆司2、土田敬明1、平野隆1、河手典彦1、大屋敷一馬2、小中千守1、加藤治文1 (1東京医大・1外、21内)

Telomerase activity using bronchial brushings obtained from bronchial metaplasia patients: Masatoshi KAKIHANA1, Naoyuki YAHATA2, Hiroshi IWAMA2, Takashi SHIMAMOTO2, Takaaki TSUCHIDA1, Takashi HIRANO1, Norihiko KAWATE1, Kazuma OHYASHIKI2, Chimori KONAKA1, Harubumi KATO1 (11st Dept. of Surgery , 21st Dept. of Int. Med., Tokyo Medical College)

【目的】Telomeric repeat amplification protocol (TRAP)法によりテロメラーゼ活性は悪性腫瘍の85-90%において検出される.一方、肝や大腸などでは前癌病変において既に弱いテロメラーゼ活性を認めることが知られている.そこで、肺扁平上皮化生細胞のテロメラーゼ活性を測定した.
【方法】対象として気管支鏡下で採取した気管支擦過扁平上皮化生細胞を用いた.10例はTRAP-eze telomerase detection kitと蛍光標識TSプライマーを用いたfluorescence based TRAP法(F-TRAP法)により2μg当たりのテロメラーゼ活性を測定した.その結果は半定量的に数値化し表した.15例はin situ TRAP法により個々の細胞レベルでテロメラーゼ活性を観察した.
【結果と考察】F-TRAP法による扁平上皮化生細胞のテロメラーゼ活性は肺癌に比べ低値であった.in situ TRAP法では細胞質に淡い蛍光を有するリンパ球様の細胞を認めるのみでテロメラーゼ陽性細胞は検出されなかった.このことよりF-TRAP法で検出されたテロメラーゼ活性は正常リンパ球の活性を反映しており、扁平上皮化生細胞はテロメラーゼ陰性と考えられた.扁平上皮化生が前癌病変であるならば肺扁平上皮癌の発癌機序の中ではテロメラーゼの再活性化は一連の流れの中で起こるのではなく、不連続に起こっていると推測される.