ABSTRACT 1257(P4-11)
Rho標的分子mDiaの部分変異体によるアクチンストレス線維の誘導:渡邊直樹、加藤隆幸、成宮周 (京大・医・薬理)
Actin stress fiber formation induced by truncated mutants of a Rho effector molecule, mDia : Naoki WATANABE, Takayuki KATO, Shuh NARUMIYA (Dept. of Pharmacol., Kyoto Univ. Faculty of Med.)
低分子量G蛋白質Rhoは主にアクチン細胞骨格系に作用し癌の転移、浸潤も含めた細胞の形態変化や運動、細胞質分裂を制御する。これらの細胞現象に至る情報は複数のRho標的分子が協調し伝達すると考えられる。以前我々が報告したRhoの標的分子、p140mDiaは近年認知されたFormin相同蛋白質ファミリーの1員で、C末側にドメイン構造(FH1、FH2)を共有する。FH1はポリプロリン構造を有し、プロフィリンと結合能がある。mDiaのN末端はGTP型RhoAと結合する。今回、mDiaの部分欠損変異体をランダムに作製、HeLa細胞の過剰発現系で解析した。。mDiaのRho結合領域はRhoを不活化するボツリヌスC3毒素同様の細胞内Fアクチン消失を引き起こす。一方、mDia全長ではほとんど変化はないが、Rho結合領域の欠損体が著明なアクチンストレス線維を誘導することを見い出した。複数の変異体から、アクチン細胞骨格系の形質発現に重要な領域や細胞内分子分布の相違をきたす変異を同定しつつあり、mDiaの活性化機構、もう1つの標的分子ROCKとの比較について述べる。