ABSTRACT 1258(P4-11)
small GTPase Rhoの標的蛋白Citronの細胞質分裂における役割:枝 雅俊,Pascal Madaule,石崎 敏理,成宮 周(京大・医・薬理)
The role of Citron, a Rho effector protein, in cytokinesis: Masatoshi EDA, Pascal MADAULE, Toshimasa ISHIZAKI, Shuh NARUMIYA (Dept. of Pharmacol., Kyoto Univ. Faculty of Med.)
small GTPase Rhoは従来より細胞の接着、移動、細胞質分裂などに関与していることが知られており、その作用メカニズムの研究は癌の増殖や転移プロセスの解明につながると期待されている。我々は前回Rhoのeffector proteinの一つCitronについて報告したが、Citronには前回報告したCitron N (Neuron or Non-kinase)のほかに、セリン/スレオニンキナーゼドメインを有するCitron K (Kinase)というsplice variantがある。Citron Kのキナーゼドメインは、ROCK/ROKおよびmyotonic dystrophy protein kinaseのキナーゼドメインと約50%の相同性を有する。キナーゼドメインおよびRho binding domainをprobeに用いたNorthern blottingにより、Citron Nはマウスの脳に、Citron Kはマウスの精巣や胸腺に強く発現していることが示された。また免疫染色の結果、Citron Kは細胞質分裂中のHeLa細胞の分裂溝に局在することが分かった。今回我々はCitron Kの様々な部分欠損変異体をHeLa細胞に過剰発現させ、ある種の変異体で細胞質分裂が障害され、多核細胞が増加することを見出したので報告する。