ABSTRACT 1262(P4-11)
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発癌物質の活性化に関与するCYP1A1誘導発現のMEK阻害剤PD98059による抑制:菊池英明、Anwar HOSSAIN(東北大・加齢研・遺伝子機能)

Blockade of induction of carcinogen metabolizing enzyme CYP1A1 by MEK inhibitor PD98059: Hideaki KIKUCHI, Anwar HOSSAIN(Dept. Mol. Genet., Inst. Develop. Aging & Cancer, Tohoku Univ.)

癌原性アリルハイドロカーボンの代謝活性化に関与している、チトクロームP-450 1A1(CYP1A1)の誘導発現機構を明かにすることを目的として研究を進めている。CYP1A1誘導物質のうち、ベンズイミダゾール構造を持つオメプラゾール(OP)などの化学物質は、ヒト培養細胞において、Ahレセプターのリガンド非依存性経路を介してCYP1A1を発現することを示唆するデータが蓄積しつつある。我々は最近、MEKの阻害剤として用いられるPD98059(PD)が、顕著にTCDDによるCYP1A1の誘導を阻害するが、OPによるCYP1A1の誘導は阻害しないことを見い出した。この阻害効果が、MEK阻害剤としての効果か、PDによるAhレセプターのアンタゴニストとしての作用かを検討した。ヒトHepG2細胞では、TCDD処理によりリン酸化されるERK1/2が、PDで抑制された。さらに、doninant negative MEKの発現により、CYP1A1の5'上流配列を結合したレポーター遺伝子の発現は、TCDDによる場合もOPによる場合も抑制された。しかしながら、PDと構造が類似している、Ahレセプターのアンタゴニストである4'-メトキシ-3'-アミノフラボン(MAF)を用いてCYP1A1の誘導に及ぼす効果を調べると、PDの場合と同様に、TCDDによるCYP1A1の誘導のみを阻害したので、アンタゴニストとしての効果が大きいと推定された。