ABSTRACT 1263(P4-11)
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食道癌細胞株における転写因子STAT1の活性化とアポトーシス:渡辺剛、嶋田裕、内田茂樹、加賀野井純一、伊丹淳、今村正之(京大・腫瘍外科)

Activation of STAT1 and apoptosis in esophageal squamous cell carcinoma cell lines: Go WATANABE, Yutaka SHIMADA, Shigeki UCHIDA, Zyunnichi KAGANOI, Jun ITAMI, Masayuki IMAMURA (Dep. of Surg. & Surgical basic science, Kyoto Univ.)

<背景と目的>我々は、食道癌悪性度の指標の1つとして細胞株の樹立化及びEGFによる増殖停止反応を報告してきた。今回、そのメカニズム解明のため、転写因子STATに注目し解析を行ったので報告する。<方法>STATの活性化をM67- SIEを用いたEMSアッセイ、免疫細胞染色法による局在の変化にて確認した。また、EGF 反応性株におけるEGF刺激後の細胞周期動態をFACSにて解析した。<結果>EMSアッセイにおいて、EGF反応性株はEGF刺激依存性にシフトバンドを認めた。また、同様に、免疫細胞染色においても、EGF反応性株においてのみSTAT1の核への局在変化を認めた。さらに、FACSの解析から、subG1の増加を認め、EGF反応性株におけるEGF刺激の増殖停止反応はアポトーシスが関与していることが推測された。<結果と考察>以上より、EGF刺激による食道癌細胞株の増殖抑制に転写因子STATが深く関与しており、その増殖抑制がアポトーシスであることが推測された。さらなる、この情報伝達系の分子生物学的メカニズムの解明は悪性度評価及び治療への応用が期待される。