ABSTRACT 1264(P4-11)
正常3番染色体導入HCT116+ch3におけるTGF-bによる細胞増殖抑制作用:宮藤康則1,2, 山田かなえ1, 鐘 暁玲1, 大塚真理1, 児井 稔3, 逸見仁道1, 三木一正2, 嶋武博之1(1東邦大・医・分子生物 , 2一内, 3Lab.Mol.Carcinogenesis, NIEHS, NIH )
Cell growth suppression by TGF-b in the normal chromosome 3-transferred colorectal cancer cell line HCT116+ch3:YasunoriMIYAFUJI1,2, Kanae YAMADA1, Mari OHTSUKA1, Minoru KOI3, Hiromichi HEMMI1, Kazumasa MIKI2, Hiroyuki SHIMATAKE1(1Dept. Mol. Biol., 21st Dept. Int. med. Toho Univ. Sch. Med., 3Lab. Mol. Carcinogenesis, NIEHS, NIH)
【目的】ミスマッチ修復欠損の標的遺伝子の1つとして3p22にあるTGF-βRII が知られている。TGF-βによる細胞増殖抑制の情報伝達にはTGF-βRIIが必須であり、本遺伝子のmutationにより細胞は増殖能を獲得すると考えられている。今回、TGF-βRII遺伝子のmutationがdominant negativeであるか否かを知るために、HCT116+ch3におけるTGF-βによる細胞増殖抑制作用を検討した。【方法】大腸癌由来細胞株としてHCT116およびHCT116+ch3を用いた。細胞数の測定は主として血球計算盤を用いた。培地中のTGF-β量はTGF-β1 ELISA system kit (Amersham社)で測定した。塩基配列はDNA sequencer (ABI, 373S)を用いて調べた。【結果】HCT116+ch3は培養3-7日で親株 (HCT116)と比べ約50-60%の増殖能を示し、培地交換により増殖能の改善が見られた。HCT116+ch3は変異型と野生型のTGF-βRII mRNA を発現していた。HCT116培養液中のTGF-b量は培養時間に比例して直線的に増加していたが、HCT116+ch3では約1/2-1/3であった。これらの結果から、HCT116+ch3ではTGF-βにより増殖が抑制されていることが示唆された。【考察】TGF-βRIIを介した情報伝達系によりHCT116+ch3の増殖能が低下している可能性が示唆されたが、今後、更に詳細に検討する予定である。