ABSTRACT 1265(P4-11)
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Drosophila melanogaster における Smad family の機能解析:井上博文,今村健志,高瀬正郎,石堂康弘,宇田川義之,川畑正博,宮園浩平(癌研・研・生化)

 Functional characterization of the Smad family in Drosophila melanogaster: Hirofumi INOUE, Takeshi IMAMURA, Masao TAKASE, Yasuhiro ISHIDOU, Yoshiyuki UDAGAWA, Masahiro KAWABATA, and Kohei MIYAZONO (Cancer Institute, Dep. of Biochemistry )

[目的]増殖抑制因子であるTGF-βが関与する癌抑制機構を明らかにするためには、その一連のシグナル伝達系を総体的に把握、解明する必要がある。我々はDrosophila melanogaster においてTGF-β superfamilyに属するDppのシグナル伝達因子である Mother against Dpp ( Mad ),Medea, Daughter against Dpp ( Dad ) の機能を生化学的手法を用いて検討した。
[方法]COS細胞を用いてMadとDppレセプターとの結合、さらにMedeaとの複合体形成について調べた。またMadとDadとでのレセプターへの競合やDadによるMadの活性化および核移行の阻害についても検討した。
[結果]Madはリガンドに依存してDpp I型レセプターであるThick veins (Tkv)と一時的に結合し、リン酸化された。さらにリン酸化されたMadはMedeaと複合体を形成した。一方Dadは安定してTkvと結合し、MadのTkvへの結合を阻害した。その結果Madのリン酸化やMedeaとの複合体形成を抑制し、さらに核への移行も妨げることがわかった。
[結論]Madはリガンド刺激によりリン酸化を受け、Medeaと複合体を形成してシグナルを伝える。DadはレセプターレベルでMad の活性化を抑制し、シグナル伝達を阻害する。