ABSTRACT 1266(P4-11)
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正常肺上皮細胞株におけるSmad遺伝子群の発現調節とアポトーシスへの関与に関する解析: 柳澤聖1, 5, 長田啓隆1,2, 増田彰1, 谷田部恭4, 斎藤敏子1, 杉山雅1, 高木健三5, 高橋利忠3, 高橋隆1,2 (愛知県がんセ・研・超微1, 病態2, 免疫3, 病・病理4, 名大・医・二内5

TGF-beta signaling Smads in lung epithelial cells: Kiyoshi YANAGISAWA1,5, Hirotaka OSADA1,2, Akira MASUDA1, Yasushi YATABE4, Toshiko SAITO1, Miyabi SUGIYAMA1, Kenzo TAKAGI5, Toshitada TAKAHASHI3, and Takashi TAKAHASHI1,2 (1Lab. Ulstrastruct. Res., 2Pathophysiol. Unit, 3Lab. Immunol., Aichi Cancer Center Res. Inst.; 4Dept. Pathology, Aichi Cancer Center Hosp.; 5Dept. Int. Med. II, Nagoya Univ. Sch. Med.)

【目的】Smad2とSmad3はともにTGF-betaの情報伝達に関わる相同性が非常に高い分子であるが、その発現調節或いは機能的な差異についての詳細な報告は無い。今回我々は、ヒト正常肺上皮細胞株を用いて検討を加えた。【方法】ヒト正常肺上皮細胞株であるBEAS2BとHPL1Aを用いて、Smad2, Smad3, Smad4のmRNAの発現の外来性刺激による変化をノザン法により検討した。また、ヒト正常肺上皮細胞における生物学的機能について検討を行うため、BEAS2BにSmad2或いはSmad3のtransfectionを行い、cell viabilityや アポトーシスの誘導能に関する検討を行った。【結果】Smad3 mRNAの発現量は、EGFや血清による刺激によっては変化しなったが、TGF-betaの添加により急速に且つ顕著に減少した。一方、Smad2及びSmad4はTGF-betaによる顕著な発現の低下を示さなかった。Smad3 mRNAの半減期は、TGF-beta添加によって変化せず、その調節は転写活性減少等の他の要因による事が示唆された。また、BEAS2BにおいてSmad3を構成的に発現させると、TGF-beta処理により強い増殖抑制とアポトーシスの誘導が観察されたのに対して、Smad2はより低いアポトーシス誘導能を示した。【考察】相同性の高いTGF-beta情報伝達分子であるSmad2とSmad3間の明確な発現調節の差異を初めて明らかにするとともに、Smad3がより強い肺上皮細胞のアポトーシス誘導能を持つ事を見出した。アポトーシス誘導に関与するSmad3のdown-regulationが、肺上皮細胞に特異的な現象かさらに検討中である。