ABSTRACT 1269(P4-11)
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マウス肝癌細胞株G-1, G-5 の増殖に対するPI3-kinase の関与:佐伯佳子1、瀬谷 司2、伊藤和幸3、明渡 均3 (1大阪成人セ・組織培養、2免疫、科学技術振興事業団、3腫瘍生化)

Involvement of PI3-kinase in growth of hepatoma cell sublines G-1 and G-5 : Yoshiko SAEKI1, Tukasa SEYA2, Kazuyuki ITOH3,Hitoshi AKEDO3 (1Depts. of Cell Biology, 2Immunology, JST, 3Biochemistry,Osaka Med. Center for Cancer and Cardiovascular Disease)

[目的、結果]私達は、マウス肝癌由来の高転移株G-5 と低転移株G-1 を分離、確立し、以下のことを明らかにしてきた。G-5はG-1に比べて 1. 皮下移植により肺へ高率に転移。2. 移植巣での増殖大。3. 血管新生大。4. in vitro、 fibronectinに対する接着能、浸潤能が大で、PI3-kinaseが関与。今回、両細胞の増殖のメカニズムを調べた。PI3-kinase inhibitor, LY294002 30μM 及びp70 S6 kinase inhibitor, Rapamycin 20nM 処理でG-1 の増殖が抑制されるが、G-5 の増殖抑制はわずかであった。MEK1 inhibitor, PD98059 50μM 処理でG-5 の増殖が抑制されるが、G-1 の増殖抑制はわずかで両者の増殖はほぼ同じとなった。両細胞のGIT 培地刺激時のMAP kinase(MAPK)の リン酸化を調べたところ、両者ともに5分後にピークが得られた。しかし、LY294002及びPD98059 処理によってG-5のリン酸化は大きく抑制されたがG-1のリン酸化は抑制されなかった。p70 S6 kinase活性 は両者ともにGIT 培地刺激でcontrol に比べ約10倍活性化され、その活性はLY294002 、Rapamycin 処理によって抑制された。[考察]各種阻害剤に対する感受性の違いから、GIT培地刺激によるG-1の増殖には主としてPI3-kinase→p70 S6 kinase系が、G-5の増殖にはPI3-kinase→MAPK系の関与が推測された。今後、MAPKの上流及び下流のシグナル系を調べる予定である。