ABSTRACT 1270(P4-11)
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GDNFによる接着斑局在性蛋白Paxillin, FAK, p130Casのリン酸化:村上秀樹1、岩下寿秀1、浅井直也1、岩田洋介1、成宮周2、高橋雅英11名古屋大学第二病理、2京大・医・薬理)

Tyrosine-phosphorylation of Paxillin, FAK, p130Cas by GDNF:Hideki MURAKAMI1,Toshihide IWASHITA1,Naoya ASAI1,Yousuke IWATA1,Shuh NARUMIYA2, Masahide TAKAHASHI (12nd.Dept.Pathol. Nagoya Univ.Sch.Med., 2Dept. Pharmacol. Kyoto Univ.Sch. Med.)

[目的]RET遺伝子は受容体型チロシンキナーゼをコードしており、種々のヒトの腫瘍性および非腫瘍性疾患の原因遺伝子として注目されてきた。また、Glial cell line-derived neurotrophic factor(GDNF) familyに属するGDNF, NeurturinがRetのリガンドであることが同定され、神経系の分化、生存においても重要な役割を果たしているものと考えられている。今回GDNF-Retを介する細胞内情報伝達経路の解析を行った。[方法・結果]数々のSrc homology 2(SH2)ドメインを有するシグナル分子と活性化Retとの結合をin vitro, in vivoで調べた結果、アダプター蛋白であるCrkがRetと結合すること、さらにCrkにはGDNF刺激に伴いPaxillin, p130Casの結合の増加がみられた。Paxillin, p130Casは細胞基質間接着斑に局在する蛋白であり、細胞接着に伴いFAKなどとともにリン酸化されることが知られている。GDNFによりこれらの分子のリン酸化状態の変化を調べると、FAK, paxillin, p130Casのいずれの分子もGDNF刺激に伴いチロシンリン酸化の増加がみられ、細胞骨格の再構成もみられた。これらの分子のリン酸化はPI3-kinaseの阻害剤による前処理によって抑制され、FAKに関しては低分子量G蛋白であるRhoの特異的阻害剤であるC3 exoenzyme処理によってもリン酸化が抑制されることが判明した。[考察]GDNF-Retを介する細胞内情報伝達経路の一つとしてCrkを介した細胞接着に関わる細胞内情報伝達経路が存在することが示唆された。