ABSTRACT 1276(P4-12)
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レプトマイシン類縁化合物アンギノマイシンBにおけるG1期停止とアポトーシス誘導:土屋綾子1,梅澤一夫1,早川洋一2,瀬戸治男2,土岐祐一郎3,吉田稔4,I. Bernard WEINSTEIN5,井本正哉11慶大・理工・応化,2東大・分生研,3阪大・医・2外,4東大・院・応生工,5Columbia Univ.)

Inhibition of G1 progression and induction of apoptosis by anguinomycin B in human esophagial cancer cells: Ayako TSUCHIYA1, Kazuo UMEZAWA1, Yoichi HAYAKAWA2, Haruo SETO2, Yuichiro DOKI3, Minoru YOSHIDA4, I. Bernard WEINSTEIN5, Masaya IMOTO1 (1Dept. Applied Chem., Fac. Sci. Tech., Keio Univ., 2Inst. Mol. Cell. Biosci., Univ. Tokyo, 3Dept. Surg.II, Osaka Univ.,4Dept. Biotech., Univ. Tokyo, 5Columbia Univ.)

[目的]前回、レプトマイシン(LM)類抗腫瘍物質アンギノマイシンB(AMB)が、ラット線維芽細胞においてサイクリンD1の発現を阻害することによりG1期停止を誘導することを見いだし、さらにCDC25Aの関与の可能性を報告した。本研究では、G1期停止作用におけるCDC25Aの関与を更に検討すると共に、AMBのヒト食道癌細胞の増殖やアポトーシスに及ぼす影響を検討した。
[方法及び結果]AMBは、ラット線維芽細胞に対して、CDK2のチロシンリン酸化状態を持続することにより活性化を阻害し、G1期停止を誘導した。しかし、AMBはCDK2のチロシン脱リン酸化を担うCDC25Aの発現量に影響を与えなかったことから、CDC25Aの活性化を抑制していることが更に示唆された。LM類は核外輸送を阻害することが知られているが、AMBによるCDC25Aの核内への蓄積は見られるものの顕著ではなかった。一方、8種類のヒト食道癌細胞にAMBを作用させたところ、サイクリンD1発現量の低い細胞にはG1期停止を誘導したが、サイクリンD1発現量の高い細胞やpRB欠損細胞にはアポトーシスを誘導した。また、これらの細胞間では、CDC25Aの発現量には差が見られなかった。