ABSTRACT 1282(P4-12)
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高リン酸化型Rb蛋白質の生化学的性質:武村政春1,北川雅敏2,田矢洋一3,玉井克之4,秋山徹5,吉田松年11名大・医・病態研,2九大・生医研,3国立がんセ・研,4医学生物学研,5阪大・微研)

Biochemical properties of hyper-phosphorylated Rb proteins : Masaharu TAKEMURA1,Masatoshi KITAGAWA2,Yoichi TAYA3,Katsuyuki TAMAI4,Tetsu AKIYAMA5,Shonen YOSHIDA1 (1Res. Inst. Dis. Mech. Cont.,Nagoya Univ. Sch. Med.,2Med. Inst. Biorg.,Kyushu Univ.,3Nat. Cancer Center Res. Inst.,4MBL Co. Ltd.,5Res. Inst. Microbial Dis.,Osaka Univ.)

【目的】我々はこれまでに、不活性型と考えられていたリン酸化型Rb蛋白質(Rb)がDNAポリメラーゼα(polα)活性を促進する事を見出した。そこで今回は、polα活性を促進する高リン酸化型Rbの生化学的検討を行った。
【結果】cdk2/cyclinEをRbと昆虫細胞内で共発現し、抗Rb抗体カラムを用いて高リン酸化型を大量に含むRb(ppRb2E)を精製した。これと、通常の発現、精製により得られたRb(pRb)のpolα促進活性を比較したところ、ppRb2Eにより強い活性が検出された。また、両者の非特異的DNA結合能をゲルシフト法で確認したところ、ppRb2Eにより強い結合能が検出された。この事は、Rbによるpolα促進にRbとDNAとの結合が関与する事を示唆している。また、抗phospho-Ser795、抗phospho-Ser807によるイムノブロットで比較したところ、pRbでは両部位がリン酸化されておらず、ppRb2Eでは両部位がリン酸化されている事が分かった。一方、抗phospho-Ser780はpRb、ppRb2Eともに反応した。これらの部位が促進活性に関与しているかは、今後の検討課題である。
一方、別のRbリン酸化酵素、cdk4/cyclinD1について、同様の共発現系によりリン酸化されたRb(ppRb4D1)を精製し、polα促進活性を検討した。その結果、ppRb4D1の促進活性はppRb2Eとは異なり、pRbと同程度であった。以上の結果は、Rbによるpolα活性促進にはcdk4/cyclinD1によるリン酸化よりもcdk2/cyclinEによるリン酸化の方が重要である事を示唆している。