ABSTRACT 1284(P4-12)
 ポスターセッション一覧 トップ 


胃癌における転写因子E2Fの発現:鈴木哲夫1、2、安井 弥1、横崎 宏1、仲 一仁1、石川武憲2、田原榮一11広島大・ 医 ・ 一病理、2広島大・歯 ・二 口外)

Expression of E2F in gastric carcinomas:Tetsuo SUZUKI1,2, Wataru YASUI1, Hiroshi YOKOZAKI1, Kazuhito NAKA1, Takenori ISHIKAWA2, Eiichi TAHARA1 (1First Dept. Pathol., Hiroshima Univ. Sch. Med.,2Dept. Oral and Maxillofacial surg II, Hiroshima Univ. Sch. Dent.)

[ 目的 ] E2FはRBの下流に存在する重要なターゲットであり、転写因子として細胞周期に関連する様々な遺伝子の発現を調節する。今回、我々は胃癌においてE2Fの発現と遺伝子異常を検討した。
[材料と方法] 胃癌培養株8株および手術的に得られた胃癌30例の癌組織と非癌部粘膜組織の新鮮凍結材料を用いた。E2F mRNAの発現と遺伝子異常はE2FcDNAをプローブとしノーザンブロット法、サザンブロット法で検討した。蛋白レベルでの発現はウエスタンブロット法で検討した。
[結果と考察] E2F-1、3mRNAの発現は、胃癌培養株8株において種々のレベルで認められ、E2F-1はCyclinE、Cdk2と共発現している傾向が認められた。胃癌組織でみると、E2F-1mRNAは30症例中14例(47%)、蛋白レベルでは19例(63%)において癌部での過剰発現が認められた。また23症例中1例において遺伝子増幅が認められた。E2F-3mRNAは30症例中24例(80%)において癌部での発現減弱が認められた。以上よりE2Fの発現異常と遺伝子増幅は胃癌の発生・増殖に関与している可能性があり、またE2Fファミリー間で発現様式が異なっていることが示唆された