ABSTRACT 1287(P4-12)
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胃癌におけるcyclin A, cyclin B1の発現:
山田和彦1,川村博司1,松嵜正實1,鈴木祐子1,仁科盛之1,山川光徳2,今井大31三友堂病院外科,2東京女子医大・2病理,3山形市医師会検診センタ−病理)

The expression of cyclin A and cyclin B1 in gastric carcinoma : Kazuhiko YAMADA1, Hiroshi KAWAMURA1, Masami MATSUZAKI1, Yuko SUZUKI1, Moriyuki NISHINA1, Mitsunori YAMAKAWA2,and Yutaka IMAI3, (1Dept. Surg. Sanyudo Hosp., 22nd Dept. Pathol. Tokyo Women's Med. College, 3Dept. Pathol. Yamagata Medical Center )

【背景】細胞周期マ−カ−に関する検討はKi-67だけでなく最近cyclin,cdc kinase, inhibitorの発現も報告されてきている。Ki-67は一般にG0期以外のG1, S, G2, M期全体を反映するとされており,詳細な細胞周期の検索には不十分である。昨年の本総会で我々は乳癌における詳細な細胞周期マーカーの検討を行い,cyclin A及びcyclin B1の発現が臨床病理学的に有用であると報告してきた。
【材料及び方法】今回我々は胃癌組織60例において主にS-G2期を認識するcyclinAとG2-M期を認識するcyclinB1の抗体を用いて免疫染色を行った。腫瘍細胞に占める陽性率(labeling index ; %)と種々の臨床病理学的因子との関連について検討した。
【結果及び考察】cyclinAは核に,cyclinB1は細胞質に陽性像を認めた。cyclin B1は分裂像を示している細胞に陽性であった。正常粘膜では増殖帯に一致して発現が認められた。癌組織全体ではKi-67:45.2%, cyclinA:15.3%, cyclinB1:10.6%の陽性率であり,正常粘膜に比較して癌ではcyclinA, B1の発現が上昇していた。臨床病理学的にはリンパ節転移陽性症例で,また,pm以深の症例でKi-67及びcyclinAの発現が高値になっていた。細胞周期マ−カ−の中で特にS-G2期(DNA合成期)を認識するcyclinAの発現は組織学的悪性度の指標となる可能性がある。さらにS期を選択的に認識するhistone H3の発現についても検討中である。