ABSTRACT 1288(P4-12)
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胃癌培養株および胃癌組織における細胞周期調節因子Chk1 mRNAの発現: 小野重弘1,2, 鈴木哲夫1,2, 安井 弥1, 横崎 宏1, 仲 一仁1, 石川武憲2, 田原榮一11広島大・医・一病理, 2広島大・歯・二口外)

Expression of Chk1, cell cycle regulator, in gastric carcinomas:Sigehiro ONO1,2, Tetsuo SUZUKI1,2, Wataru YASUI1, Hiroshi YOKOZAKI1, Kazuhito NAKA1, Takenori ISHIKAWA2, Eiichi TAHARA1 (1First Dept. Pathol., Hiroshima Univ. Sch. Med.,2Dept. Oral and Maxillofacial surg II, Hiroshima Univ. Sch. Dent.)

[目的] 細胞周期調節因子の異常は、細胞増殖を介して癌化に関与する。Chk1は、CDC25をリン酸化し、そのphosphatase活性を阻害することにより細胞周期の進行に関わるものと考えられている。今回我々は、胃癌培養株および胃癌組織において、Chk1の発現と遺伝子異常を検討した。[材料と方法] 胃癌培養株8株および手術的に得られた胃癌23症例の癌組織と非癌部粘膜組織の新鮮凍結材料を用いた。Chk1 mRNAの発現と遺伝子異常は、Chk1 cDNAをプローブとし、ノーザンブロット法、サザンブロット法で検討した。[結果と考察] Chk1 mRNAの発現は、胃癌培養株8株において種々のレベルで認められた。他の細胞周期調節因子との明らかな相関は認められなかった。胃癌組織についてみると、20症例中14例(70%)において、癌部に明らかな発現減少が認められた。サザンブロット法による遺伝子異常は認められなかった。以上より、Chk1の発現減少は、胃癌の発生・増殖に関与する可能性が示唆された。