ABSTRACT 1289(P4-12)
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サイクリンGによるG2/M期の制御:西田純一、清水 篤、上岡陽亮、栗秋ユミ子、堀内新司、加藤聖子、和氣徳夫(九大・生医研・産婦)

Cyclin G Contributes to G2/M arrest of cells in response to DNA Damage.:Jun-i-chi NISHIDA, Atushi SIMIZU, Yousuke UEOKA, Yumiko KURIAKI, Shinji HORIUCHI, Kiyoko KATO, Norio WAKE (Dept. Reproductive Physiol. Endocrinol., Med. Inst. Bioregulation, Kyushu Univ.)

【目的】細胞周期の調節は各々の周期に特異的なサイクリンによって行われている。その中でサイクリンGはp53により転写が活性化される。しかしその機能は不明である。本研究ではサイクリンGによる細胞周期調節能を解析した。
【方法】1)ラット胎芽線維芽細胞(REF)、Rat1a細胞を用いた。2)0.02-0.2μMドキソルビシン(DOX)、5mM酪酸ナトリウム(NaB)処理後、細胞周期の変化、p53、サイクリンG、p21 の発現を解析した。3)サイクリンGに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド(AS)を添加し細胞周期調節に与える影響を観察した。
【成績】1)DOX、NaBによりp53蛋白及びp21mRNAの増大が観察された。2)DOX処理により各細胞はサイクリンG発現量を増大し、それに伴うG2/M期集積を濃度依存性に示した。3)NaBはサイクリンG発現量を増大しなかった。細胞はG1期に集積し、S期及びG2/M期細胞は相対的に減少した。4)0.02μMDOX処理に伴う細胞のG2/M期集積はAS投与によりコントロールレベルにまで抑制された。0.1μMDOX処理によりG2/M期集積とsubG1期細胞の出現が観察され、共にASにより抑制された。
【結論】1)サイクリンG発現の誘導に伴い、細胞はG2/M期に集積する。この機能はASにより特異的に抑制されたため、サイクリンGはG2/M期移行を調節していることが示唆された。2)ASにより0.1μM DOX処理に伴う細胞のG2/M期集積及びsubG1期細胞の出現が回避された事から、サイクリンGはDOXによるG2期停止或いはアポトーシスの誘導に関与していることが示唆された。