ABSTRACT 1295(P4-12)
 ポスターセッション一覧 トップ 


がん細胞の多倍体化過程におけるDNA合成速度: 藤川孝三郎1, 宗志平1, 村上学1, 山岸裕子1, 関新1, 大土井千恵1, 宮越稔1、木南義男, 山口宣夫, 小田島粛夫(金沢医大・総医研・基礎医科学, がん、 医・血清、病理)

DNA synthesis rate of polyploidizing tumor cells: Kohzaburo FUJIKAWA-YAMAMOTO1, Zhi-ping ZONG1, Manabu MURAKAMI1, Hiroko YAMAGISHI1, Xin GUAN1, Chie OHDOI1, Minoru MIYAKOSHI1, Yoshio KINAMI2, Nobuo YAMAGUCHI3 and Shizuo ODASHIMA4  (1,2Res. Institut., 3Dept. Serol., 4Dept. Pathol., Kanazawa Med. Univ.)

目的:我々はこれまで細胞周期制御による培養細胞の多倍体化を検討してきた。紡錘糸形成阻害剤であるデメコルチン(コルセミド)は多くの培養細胞を多倍体化する。今回はデメコルチンによる2種の細胞の多倍体化過程におけるDNA合成を中心に述べる。
実験:細胞はMeth-A細胞とB16F10細胞を用い、L15:F10(7:3)混合培地(10%FBS)で培養した。対数増殖中あるいはヒドロキシウレアで同調した細胞に種々の濃度のデメコルチンを加えた後、FCMでのDNA分布、BrdUの取り込み、及びcMycタンパク質の発現等を測定した。
結果:(1)両細胞の周期時間は多倍体化の進行と共に同程度に増加した。(2)S期の長さは多倍体化の進行と共に増加する(Meth-A)か同一(B16F10)であった。(3)S期におけるDNA合成速度は多倍体化の進行と共に増加する(B16F10)か同一(Meth-A)であった。(4)S期におけるcMyc量は多倍体化の進行と共に増加する(B16F10)か同一(Meth-A)であった。
考察:デメコルチンによる多倍体化過程におけるDNA合成速度は定説の様に一様ではなく、細胞種によって異っており、S期に入る前にいかほどの準備ができるかに依存していると推察された。