ABSTRACT 1296(P4-12)
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癌遺伝子ect2の細胞回転における発現:
坂田博美1 小野寺一彦1 加藤一哉1 葛西真一1 三木 徹2 (1旭川医大2外, 2米国NCI)

Cell cycle dependent expression of the ect2 proto-oncogene: Hiromi SAKATA1, Kazuhiko ONODERA1, Kazuya Kato1, Shin-ichi KASAI1, Toru MIKI2. (1 Dept of Surg,I, Asahikawa Med.Sch. and 2 National Cancer Institute, USA)

【目的】ect2 は 、構造的にDHドメインを持ち、Rho ファミリーの低分子量 GTP 結合蛋白質の活性を制御すると同時に、アミノ末端ドメインが細胞増殖に抑制的に働く癌遺伝子である。最近このアミノ末端ドメインが分裂酵母の細胞周期に関わる遺伝子 cut5 と相同性の高いことが報告された。そこで我々は、in vitro及びin vivo の 細胞周期モデルにおいてect2 発現を検討した。
【方法】BALB/MK細胞株にKGFを加え76時間培養した。BALB/c マウスに70% 肝切除術を行い、再生肝におけるBrdU Labeling Index(LI) 及びMitotic Index(MI) を計測した。 ect2 mRNA 及び蛋白質の発現はNorthern及び Western blot で、細胞内局在は in situ hybridization で検討した。
【結果】ect2はKGF trigger後,BALB/MK細胞に発現誘導され、DNA合成後期にpeakを示した。70% 肝切除後のマウス再生肝で、LIは肝切後36h, MIは48hで最大に達した。このモデルにおいてect2 mRNA及び蛋白は肝切後 36h より発現し, 48h で最高値に達した。ect2 mRNAの局在はMitotic figureを持つ肝細胞に一致した。
【結論】ect2 は細胞周期依存性に発現が調節され,そのcut5相同性から、DNA 複製,S 期から G2/M 期への移行,及び 肝再生に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。