ABSTRACT 1298(P4-12)
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ウシ脳における脱ユビキチン化酵素群の分離と性質 : 川上高幸1、小俣政男1、田中啓二2* (1東京大学消化器内科、2都臨床研、*CREST:科技団・戦略)

Purification and characterization of deubiquitinating enzymes (DUBs) in bovine brain : Takayuki KAWAKAMI1, Masao OMATA1, Keiji TANAKA2* (1Dept. of Gastro., Faculty of Med., Univ. of Tokyo, 2*Tokyo Metropolitan Inst. Medical Sci. and CREST)

ユビキチン依存性の蛋白質分解機構はG1/S期転移およびM 期の進行に必須な様々な細胞周期因子の代謝的安定性を支配して細胞周期の進行を制御していることが判明し、細胞周期制御、引いては癌研究領域で最も注目される分野である。一方、細胞内には多数の脱ユビキチン化酵素(DUB: deubiquitinating enzyme)が存在することから、ユビキチンによる標的基質の翻訳後修飾反応は可逆的であることが示唆されている。 しかしヒトにおける DUB の実体は殆ど分かっていない。一方、脳においてユビキチンの異常蓄積を示す脳神経病疾患の例が多数見つかっている。そこでウシ脳に存在する DUB について 125I-Ub-PEST 分解活性を指標に検索した結果、各種クロマトグラフィー操作により約20種の DUB が分離された。 Ubiquitin をリガンドとしたアフィニティークロマトグラフィーによって2種の DUBs (sDUB-1 および sDUB-2) を可溶性分画から精製した。 一方脳ホモジネートの1000×g 沈殿膜分画には比較的高い 125I-Ub-PEST 分解活性の存在することが判明した。 これらの DUB 活性は 1.0Mの NaCl で処理しても可溶化されなかったが、5%Heptylthioglucoside+1%NP-40 の界面活性剤で可溶化された。 Q-Sepharose、Hydroxyapatite、Heparinの各種クロマトグラフィー操作により複数の膜結合型 DUB が同定され、その中の高い活性を示す2種の DUB (mDUB-1 および mDUB-2) を高純度に精製しそれらの特性を調べた。 高等動物の脳に存在する DUB 群の酵素学的性質について報告する。