ABSTRACT 1299(P4-12)
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マアクロファージ培養液中に見い出された腫瘍細胞死誘導因子の作用機構;細胞周期関連蛋白質と細胞死の関連について:足達敏博(京大医 病態生物医学)

Cytotoxic activity of factors produced from macrophage cultures with special reference to cell death and cell cycle related proteins: Toshihiro ADACHI (Dept. of Basic Biology and Medicine, Graduate School of Med。.Kyoto Univ.)

増殖因子依存性に増殖する培養マクロファージの培養液中に、腫瘍細胞に対してアポトーシスを誘導する因子(蛋白質)が産生されていつことを見い出し報告してきた。今回、この因子の人腫瘍細胞に対する作用機構について細胞周期関連蛋白質に注目して検討した結果、細胞周期に関連して細胞死が誘導されることを見い出したので報告する。実験方法:マクロファージ培養液中の細胞死誘導因子を人培養細胞(Saos cells,Hela cells)に添加培養して細胞死と細胞周期の関連を調べた結果、細胞が分裂期に移行することなく死亡することを観察した。そこでcyclinA,BおよびCDCkinaseに対する抗体を用いた免疫組織化学、およびDNAに対してPropidium Iodine染色しレーザーscanning cytometryで細胞のDNA量、核濃縮等を測定した。
結果:ひとの培養細胞に、細胞死誘導因子を添加した場合、G1期の細胞は多くは生存しているが、いったんS期に入った細胞では分裂期(M期)に入るまでの期間(SーG2)に細胞死することが判明した。細胞死をきたした細胞では、cyclin A、B およびcdcが核内に移行しており、クロマチンの濃縮、DNA増量がみとめられた。他方、TNF添加した場合は、時間的に早期に細胞死がみられ、細胞周期と無関係に細胞死することから、マクロファージ培養液中に見い出され細胞死誘導因子の作用機構は、TNFとは明らかな相違も見られた。