ABSTRACT 1300(P4-12)
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Human Immunodeficiency Virus Type 1 Vpr によるmicronucleiの出現:志村まり1, 高久史麿2, 石坂幸人11国立医療セ, 2自治医大)

Micronuclei induced by Human Immunodeficiency Virus Type 1 Vpr: Mari SHIMURA1, Fumimaro TAKAKU2, Yukihito ISHIZAKA1 (1Int Med Center of Japan, 2Jichi Med Sch)

我々は、HIVのアクセサリー遺伝子であるVprの発現誘導系の作成を試み、ヒト由来線維肉腫細胞株HT1080から、doxycycline(以下DOX)添加によりVpr発現を自由に調節可能なクローン(以下MIT-23)を得た。MIT-23ではDOX添加培養後2日より、細胞周期においてG2/M期における細胞の集積と多核細胞の出現を認める。本研究では、Vprによる多核化に伴なって生じるmicronucleiについての検討を行った。MIT-23を培養用フラスコでDOX(5ug/ml)添加3日間培養後、PBSで洗浄、100% MetOHにて固定を行った。Propium iodide (PI) 20ug/ml にて染色、洗浄後、落射型蛍光顕微鏡にて観察し、核と同様の染色性を示すmicronucleiを有する細胞を計数した。また、ヒトkinetochoreに対するモノクローナル抗体を用いて各micronucleiにおける中心体構造の有無を解析した。DOX添加3日後における単核細胞では、コントロール細胞と比較しておよそ1.6倍のmicronuclei 陽性細胞数の増加が認められた。これに対して2核以上の多核細胞ではおよそ50倍のmicronuclei陽性細胞数の増加が観察された。micronucleiの中には抗kinetochore抗体に対して陽性を示すものも認められた。Vprの発現により単核細胞においてもmicronucleiを有する細胞数の増加が認められたことから、Vprは細胞の多核化に加えて、aneuploidyを積極的に誘発する機能を有していることが示唆された。