ABSTRACT 1301(P4-12)
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Differential Display法による静止期で誘導される遺伝子の同定:西川 鑑、荒井宗大、岩崎雅宏、芥川典之、寒河江悟、工藤隆一 (札幌医大・産婦)

Identification of genes whose expression is induced by quiescence using differential display technique: Akira NISHIKAWA, Munehiro ARAI, Masahiro IWASAKI, Noriyuki AKUTAGAWA, Satoru SAGAE, Ryuichi KUDO (Dept. of OB/GYN, Sapporo Medical University)

[目的]これまで同定された癌抑制遺伝子のなかでRB, p16, p53などは細胞周期調節作用を有することから、細胞周期を制御する遺伝子は癌抑制遺伝子の可能性があると考えられる。我々は、飢餓状態で静止期にある細胞と細胞周期に入っている細胞間で発現している遺伝子をDifferential display法(DD法)で比較し、静止期で誘導される遺伝子の同定を試みた。
[方法]0.5% Fetal bovine serum (FBS)存在下で48時間培養し静止期にしたラット線維芽細胞(F111)と20% FBSを添加しDNA合成を開始させた細胞からRNAを抽出しDD法を施行した。DDで得られたcDNAをプローブとしたNorthern解析により発現の差を確認し、その塩基配を決定し、ホモロジー解析をした。
[結果]得られたクローンHAP6-8はNuclear dual kinaseとして同定されたCLK/STYと同一であった。全長cDNAをプローブとしたNorthern解析では3.2kbと1.8kbのmRNAが確認されたが、HAP6-8をプローブとした場合、スプライシングのため1.8kb mRNAは検出できなかった。HAP6-8が含まれる3.2kbのmRNAは静止期で発現が亢進し、血清添加あるいはSV40 large T抗原によるDNA合成刺激により発現が減弱することを確認した。
[結語]今回DD法により同定されたCLK/STYは細胞周期の調節作用をもつ可能性があることが示唆された。