ABSTRACT 1308(P5-1)
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転写因子 MAZ と癌抑制遺伝子 DCC 蛋白質との分子会合:鵜飼英世、筒井初美、村田武英、横山和尚(理研・筑セ)

Molecular interaction of MAZ transcription factor and DCC tumor suppressor gene product during differentiation of P19 cells : Hideyo UGAI, Hatsumi TSUTSUI, Takehide MURATA,, Kazunari K. YOKOYAMA (RIKEN)

演者らは、c-mycプロモーター上流に特異的に結合する Zinc finger モチーフをもつ転写因子 MAZ をクローニングし、その生物学的機能の解析を進めてきた。その中で、胚性腫瘍細胞 (EC) の分化誘導過程におけるMAZの役割を検討するため、MAZ を特異的に認識する抗体を用い、分化前と分化後の細胞抽出物を免疫沈降したところ、分化後に特異的に共沈してくる分子量約 190 kDa の蛋白質を検出した。本蛋白質は DCC を識別するモノクロナール抗体と免疫学的に交差反応を示したことから DCC である可能性が示唆された。癌抑制遺伝子産物 DCC 蛋白質は悪性腫瘍の進行に抑制的に働くのみならず、神経細胞や上皮細胞の分化にも重要な役割を担っていることが、明らかになりつつある。また、最近の解析では神経誘因物質ネトリン-1のレセプターの機能を有する事も知られている。免疫共沈殿法やウエスタンブロット法などにより、in vivo で両分子は分子会合すること、また、DCC 細胞内領域の GST またはヒスチジンタッグの融合蛋白を用いて in vitro での分子会合、さらに抗体免疫蛍光染色法から分化した神経細胞では、MAZ 蛋白質が細胞質にも局在し、DCC と共局在することが確認できた。分化誘導時におけるMAZのME1a1 依存性の c-myc の発現は DCC 共存下で顕著に抑制され、その抑制はME1a1 サイトに MAZ が DCC との会合により核内の MAZ 蛋白質が消失する事が原因であると推定される。