ABSTRACT 1309(P5-1)
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MITFによるマウスマスト細胞プロテアーゼ遺伝子の発現調節:実宝智子, 森井英一, 北村幸彦(阪大・医・病理)

Deficient transcription of mouse mast cell protease 4 gene in mutant mice of mi/mi genotype:Tomoko JIPPO, Eiichi MORII, and Yukihiko KITAMURA (Dept. of Pathol, Osaka Univ. Med. Sch.)

【目的】細胞の癌化の促進や抑制に関与している転写因子は多く知られている。種々の細胞の増殖および分化過程にも特異的に発現する転写因子が関与している。mi遺伝子はbasic-helix-loop-helix-leucine zipper 型転写因子MITFをコードしている。mi遺伝子座に2個の突然変異をもつmi/mi突然変異マウスでは、皮膚のマスト細胞の減少と共にその分化異常が認められる。キマーゼであるmouse mast cell protease (MMCP)-5およびトリプターゼであるMMCP-6は共にmi/miマウスの培養マスト細胞(mi/miCMC)でその発現が低下しているが発現調節の機構は異なる。本研究ではこの違いがキマーゼとトリプターゼの差によるものかを調べるために、キマーゼであるMMCP-4とMMCP-5およびMMCP-6の発現調節を比較した。【方法及び結果】MMCP-4もmi/miCMCで発現が低下している。mi/miCMCに正常MITFのcDNAを導入するとMMCP-4の発現が回復することより、MITFがMMCP-4遺伝子発現に関与していることが示された。正常MITFはMMCP-4およびMMCP-6の5'上流域に結合するが、MMCP-5の5'上流域には結合しない。stem cell factorを加えるとmi/miCMCにおけるMMCP-5の発現は回復するが、MMCP-4とMMCP-6の発現は回復しない。これらの結果よりMMCP-4の発現調節はMMCP-5よりもMMCP-6に似ていることが示された。