ABSTRACT 1316(P5-1)
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転写因子PU.1とコアクチベーターCBPの相互作用:山元ひとみ,根岸(木原)文子,山田俊幸,及川恒之(佐々木研・細胞遺伝)

Interaction of transcription factor PU.1 and coactivator CBP : Hitomi YAMAMOTO, Fumiko NEGISHI-KIHARA, Toshiyuki YAMADA, Tsuneyuki OIKAWA (Dept. of Cell Genet., Sasaki Inst.)

 PU.1/Spi-1遺伝子はEtsファミリーに属する転写因子をコードしており、Friendウイルス誘発のマウス赤白血病細胞(MEL)においては同遺伝子の脱制御が赤血球系細胞へのがん化に関与すると考えられている。また、PU.1蛋白質はNF-EM5/Pipをはじめとして、Rb蛋白質、基本転写因子などの分子と結合し、それら蛋白質との相互作用を通じて、その機能を果たす場合があることも知られてきた。
 そこで今回、酵母を用いたTwo-hybrid法によりMEL細胞のcDNAライブラリーを用い、PU.1蛋白質に相互作用する未知の蛋白質をコードする遺伝子の単離・同定を行ったところ、6つの陽性クローンを得た。その中の1つはTranscriptional coactivatorとして働くCBP (CREB binding protein)と同一であった。またGST binding assayにより、in vitroでPU.1とCBPが結合すること、その相互作用にはPU.1のN末端側の転写活性化ドメイン(78-122 a.a.)と、CBPのZnフィンガードメイン(1283-1915 a.a.)が重要であることがわかった。さらに、Hela細胞を用いたreportor gene assayによりPU.1の転写活性化能にCBPがコアクチベーターとして関与していることが確認された。
  CBPはCREBの他、多くの転写因子のコアクチベーターととして働くことが知られている。従って、 PU.1とそれらの転写因子とのCBPの競合ならびに相互作用が赤血球細胞の増殖・分化に関与している可能性が考えられた。