ABSTRACT 1319(P5-1)
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血球系細胞において癌抑制遺伝子産物WT1と結合する因子のcDNAクローニング:坂本佳正,仙波憲太郎(東大・医科研・細胞化学)

cDNA cloning of factors which bind to Wilms' tumor suppressor gene product, WT1, in hematopoietic cells:Yoshimasa SAKAMOTO, Kentaro SEMBA (Dept. of Cellular and Molecular Biology, The Inst. of Med. Sci., Univ. of Tokyo)

癌抑制遺伝子WT1はウィルムス腫瘍の原因遺伝子であり、腎臓において細胞の増殖を負に制御していると考えられている。一方で、WT1は血球系の細胞においても発現が見られ、腎臓の細胞内とは逆に細胞の増殖を正に制御していると考えられている。これらのことからWT1が腎臓の細胞と血球系の細胞とで異なる因子と相互作用することにより、細胞増殖を正や負に制御している可能性が考えられる。そこで血球系の細胞におけるWT1の機能を調べることを目的に、two-hybrid法を用いてWT1と結合する因子の単離を試みた。WT1(+/+)の全長をbaitに用いてCML-BC由来細胞株であるK562細胞のcDNAライブラリーのスクリーニングを行った。1.6x107個のクローンをスクリーニングした結果、467個のポジティブクローンが得られた。そのうち、263個はすでにWT1と結合することが報告されているhUBC9であった。残り204個のうち51個は同一の新規遺伝子由来であった。その他に幾つかの既知の転写因子や転写因子様の新規遺伝子が得られた。現在、それらの遺伝子産物のin vitro, in vivoでのWT1との結合能と血球系細胞での機能について解析を進めるとともに、新規遺伝子については全長の構造決定を進行中である。