ABSTRACT 1323(P5-1)
E2F1およびB-mybプロモーターの抑制に関与する転写抑制因子とE2F/Rbファミリー蛋白質の相互作用:中島雄介1,榎本昭二1,池田正明2(東京医歯大・歯・12口外,2発生)
Association of E2F/Rb family members with a co-repressor required for the repression of E2F1 and B-mybtranscription.:Yusuke NAKAJIMA1, Shoji ENOMOTO1, Masa-aki IKEDA2 (12nd Dept. Oral Maxillofac. Surg.,Dept. 2Dev. Biol., Fac. Dent., Tokyo Med. Dent. Univ.)
転写因子E2Fは、細胞増殖の制御に関与する多くの遺伝子の転写制御に重要であり、これらの遺伝子のプロモーター上にはE2F結合配列が存在する。また、Rbファミリー蛋白質は、E2F結合配列を介して転写抑制に積極的に働いている。しかし、静止期(G0期)におけ転写抑制には、E2F結合配列だけでは十分でなく、近傍に存在する転写抑制配列CHR(Cell Cycle Gene Homology Region)が重要な役割を果たしていることが、B-myb遺伝子で明らかになった。そこで、E2F1遺伝子にもこのCHR配列が存在することから、まずその機能を解析した。次に、そこに結合する因子と、E2F/Rbファミリー蛋白質との相互作用について検討した。
REF-52細胞で、E2F1プロモーターを用いたLuciferase assayによる機能的解析の結果、E2F1遺伝子の転写抑制には、B-myb遺伝子と同様に、E2FとCHR配列の方を介した協調作用が必須であることが示された。さらに、細胞の核抽出液からE2F親和性DNAビーズを用いて精製したE2Fサンプルと、Rbファミリー蛋白質の特異的抗体による免疫沈降サンプルのGel shift assayの結果、CHR配列に特異的に結合する因子が検出され、この因子は、in vivoにおいてE2FおよびRbファミリー蛋白質と複合体を形成していることが示された。以上のことから、CHR結合因子は、E2F/Rbファミリー蛋白質と相互作用することによって、静止期におけるE2F1、B-myb遺伝子の転写抑制に重要な役割を果たしていることが示唆された。