ABSTRACT 1409(P5-7)
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CD40分子を介するシグナルによるBリンパ球の細胞周期制御の機構:吉田 功、鍔田武志(東京医歯大・難治研・免疫)

Cell Cycle Regulation of B Lymphocytes by CD40 Signaling: Tsutomu YOSHIDA, Takeshi TSUBATA (Dept. Immunol., Med. Res. Inst., Tokyo Med. and Dent. Univ.)

【目的】 Bリンパ球では種々の膜分子を介するシグナルにより細胞周期回転が調節されている。WEHI-231細胞においてはB細胞抗原受容体(BCR)を介したシグナルによりG1 期での細胞周期停止を起こし、細胞周期回転はCD40シグナルによって回復する。我々は、BCRシグナル及びCD40シグナルがp27Kip1分子の発現を増減させることにより、Cdk2-cyclin E系を制御してG1/S移行に働くことを示してきたが、今回、この系を用いてCD40シグナルによるCdk4/6-cyclin D系の制御を解析した。
【方法・結果】 WEHI-231細胞の細胞周期関連分子をWestern blotで解析したところ、BCR架橋により細胞周期が停止した際に、Cdk4、6の発現量の変化は見られなかったが、cyclin D2の蛋白レベルの著明な低下とRb蛋白質(pRb)のhypophosphorylationが見られ、Cdk4/6活性の低下が示唆された。さらに、BCR架橋とCD40シグナルの共存により細胞周期回転が回復した際にも、cyclin D2レベルの回復は見られず、pRbのhypophosphorylated formも残存し、Cdk4/6活性が低下したままであることが示唆された。しかし、この際にCdk4/6の標的分子であるRbファミリー遺伝子産物の蛋白量の著明な低下が見られた。このようなRbファミリー遺伝子産物の発現低下によりCdk4/6活性が低下したままでも細胞周期回転が起こるものと考えられた。
【考察】 Bリンパ球のCD40シグナルによる細胞周期回転制御の際にpRbの蛋白量の制御が重要な役割を果していることが示唆される。