ABSTRACT 1418(P5-7)
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上衣腫におけるmdm2遺伝子増幅とその過剰発現:鈴木 諭,岩城 徹(九大・医・脳研病理)

Gene amplification and overexpression of mdm2 in ependymomas: Satoshi O SUZUKI,Toru IWAKI (Dept. of Neuropathology, Kyushu Univ.)

[目的]p53遺伝子変異の報告が少ない上衣腫においてmdm2遺伝子の増幅および蛋白発現を調べ,腫瘍形成機序を検討する。[方法]上衣腫20症例 26 サンプルのパラフィン切片を用い,MDM2,p53に対する免疫染色を行った。核の陽性の頻度を,2+(びまん性), +(局所的), ±(少数),−(陰性)に分類した。また,同一標本よりDNAを抽出し,differetial PCR (DPCR)によってmdm2遺伝子増幅の有無を検討した。[結果]免疫染色:25サンプル(96%)で MDM2が陽性であった。一方,p53は2サンプル(8%)のみで陽性を示した。大部分(96%)のサンプルがMDM2陽性/p53陰性であった。p53陽性のサンプルはいずれもMDM2陽性であった。DPCR :9サンプル (35%)でmdm2遺伝子の増幅をみた。DPCRで遺伝子増幅を示したサンプルはすべて免疫染色でも陽性を示したが,免疫染色で陽性のサンプルのうち17サンプル (65%)では遺伝子増幅がみられなかった。[考察]上衣腫におけるmdm2遺伝子増幅は,従来の報告にある膠芽腫における頻度 (10%程度) に比べ,高率であった。免疫染色では遺伝子増幅よりもさらに高率に陽性を示し,遺伝子増幅以外の過剰発現機序の存在が想定された。一方p53の発現は頻度が低く,MDM2による分解促進が示唆された。
[文献]Biernat W et al. J Neuropathol Exp Neurol 56: 180-185, 1997