ABSTRACT 1501(P5-14)
消化器癌における遺伝子不安定性の臨床的意義:中島秀彰1, 武冨紹信1, 大城辰雄1, 馬場秀夫1, 鴻江俊治1, 瀬尾洋介1, 藤 也寸志2, 岡村 純2, 上尾裕昭3, 田中洋一4, 森 正樹5 (1九州がんセ・消外, 2九州がんセ・臨研, 3大分県病・外 ,4埼玉がんセ・外, 5九大・生医研・外)
Clinical significance of genetic instability in cancers in GI tract: Hideaki NAKASHIMA1, Akinobu TAKETOMI1, Tatsuo OSHIRO1, Hideo BABA1, Shunji KOHNOE1, Yosuke SEO1, Yasushi Toh2, Jun OKAMURA2, Hiroaki UEO3, Yoichi TANAKA4 and Masaki MORI3 (1Dept. of Gastroenterologic Surg., National Kyushu Cancer Center, 2Clin. Res. Inst., National Kyushu Cancer Center, 3Dept. of Surg., Oita Prefectural Hosp., 4Dept. of Surg. Saitama Cancer Center, 5Dept. of Surg., Med. Inst. of Bioregulation, Kyushu Univ.)
[目的]消化器癌における遺伝子不安定性(genetic instability: GI)を検索して、GIの臨床的意義について検討した。[対象と方法]食道癌57症例、大腸癌54症例、単発胃癌88症例、同時性多発胃癌17症例(36癌病巣)を対象とした。RI標識法でPCR法を用いてGIの有無を検索した。また一部の症例については蛍光標識法を用いてRI法と比較した。[結果]GIは食道癌7/57例(12%)、大腸癌13/54例(24%)、単発胃癌18/88例(20%)、多発胃癌12/17例(70%)に認めた。食道癌ではGI陽性癌は扁平上皮癌よりも小細胞癌に多く、単発胃癌と大腸癌ではGI陽性癌はリンパ節転移陰性例に多い傾向があった。多発胃癌のGI陽性率は単発胃癌に比べて有意に高かった。RI法と蛍光法の結果は一致していた。[結語]1)消化器癌の発生や進展にGIが関与している可能性、2)胃癌、大腸癌ではGIが生物学的悪性度の指標となる可能性、3)GIが癌多発患者の指標となる可能性、4)臨床応用に際しては蛍光標識法が有用である可能性、が示唆された。