ABSTRACT 1507(P5-14)
DNA Replication Error(RER)陽性の非家族性大腸癌における腫瘍細胞間リンパ球侵入
小西文雄、1 紫藤和久、1 増渕成彦、1 仙波真吾、1 金澤暁太郎、1 塚本俊彦2 (1自治医大消一外、2北里大薬学生理化学)
Inter-tumor cell infiltration of lymphocytes in non-familial colorectal cancer with RER: Fumio KONISHI1,KazuhisaSHITO1,ShigehikoMASUBUCHI1, ShingoSENBA1, Kyotaro KANZAZWA1, Toshihiko TSUKAMOTO2 (1Dept.Surg., JichiMed.Sch, 2Dept.Pharmacol.Kitasato Univ.).
[目的] RER陽性非家族性大腸癌の病理組織学的特徴について検討した。[対象と方法]家族歴に大腸癌患者を有さない大腸癌手術症例84例(近位大腸32例、遠位大腸52例、進行癌83例、早期癌1例)を対象とした。Mfd26, D2S123, その他計7つのmicrosatellite markerを用いてRERを検索し、2 loci以上で変異を認めた症例をRER(+)とした。病理組織標本を一定の検者がRERの情報なしに検鏡した。組織型、間質のリンパ球浸潤、粘液産生、脈管侵襲、腫瘍細胞間リンパ球侵入等、について評価した。[結果]RER(+)症例ではRER(-)と比較し、腫瘍細胞間リンパ球侵入を呈した症例の頻度が有意に高かった(29%:8/27, vs. 8%: 5/57, p=0.022)。その他の病理組織学的因子に関してはRER(+)と(-)の間で全く差を認めなかった。 [結論]RER(+)非家族性大腸癌は、従来報告されてきたHNPCCに類似した病理組織像は認められず、腫瘍細胞間リンパ球侵入が有意に特徴的な組織所見であると考えられた。