ABSTRACT 1509(P5-14)
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若年者乳癌の遺伝子不安定性とp53遺伝子異常との関係:藤井誠志, 武島幸男, 有広光司, 杉 桂二, 井内康輝(広島大・医・二病理)

The relationship between replication error and alteration on p53 gene in young patients with breast cancer : Satoshi FUJII, Yukio TAKESHIMA, Koji ARIHIRO, Keiji SUGI, Kouki INAI (2nd Dept. of Pathology, Hiroshima University School of Medicine)

[目的]若年者乳癌と高齢者乳癌との間には臨床病理学的因子や遺伝子異常の面でいくつかの相違があるが、我々はすでに35才以下の若年者乳癌にはreplication error (RER)の頻度が高いことを報告している。また、若年者乳癌は中高年者乳癌よりp53蛋白の発現が高いことが報告されており、その背景として若年者ではより遺伝子異常の頻度が高いことが推測される。そこで今回は、若年者乳癌と高齢者乳癌との間でのp53蛋白の発現とp53遺伝子の異常の頻度の違いを検討し、さらに若年者乳癌においては、p53遺伝子の異常とRERとの関係を明らかにする目的で以下の検討を行った。[対象と方法]25才以上35才以下の若年者乳癌24例、36才以上39才以下21例及び60才以上81才以下の高齢者乳癌の20例の合計65例の女性乳癌を対象とした。RERの有無は10種類のmicrosatellite markerを用いて判定した。p53蛋白の発現は抗p53蛋白抗体(DO-7、Novocastra社)を用いた免疫組織化学的染色にて検討した。p53遺伝子の異常はPCR-SSCP法を用いてexon5、6、8について変異バンドの検索を行った。[結果]遺伝子異常の検索が可能であった症例に限ると、p53蛋白の過剰発現は25才以上35才以下の若年者例では50%(10/20)、36才以上39才以下例では28%(5/18)、高齢者例では19%(3/16)に認めた。PCR-SSCP法を用いたp53遺伝子異常の検索では、若年者例では40%(8/20)、36才以上39才以下例では33%(6/18)、高齢者例では13%(2/16)に変異バンドを認めた。RERの有無とp53蛋白の発現及びp53遺伝子の異常との相関をみると、25才以上35才以下の若年者例のRERを示した症例では86%(6/7)にp53遺伝子の異常の可能性を示す一方、RERを示さない症例では62%(8/13)にp53遺伝子の異常の可能性を示した。直接塩基決定法により点突然変異を検索し、その違いの有無についてあわせて報告する。