ABSTRACT 1510(P5-14)
ゲノム不安定性を示す乳癌に認められたPTENの変異;美濃部かおり1,2,恩田昌彦 2,古川清憲 2 ,樋口勝美 2,霞 富士雄 3,中村祐輔4, 江見 充 1(1日本医大.老人研.分子生物,2日本医大.第1外科,3癌研.乳腺外科,4東大.医科研)
Somatic mutation of PTEN in breast cancer with genome instability: kaori MINOBE1,2, masahiko ONDA2 , kiyonori FURUKAWA2, katsuyoshi HIGUCHI2, fujio KASUMI3, yusuke NAMKAMURA4, , mitsuru EMI1 (1Dep.mol.Biol. Inst. Gerontol., Nippon Med. Sch., 2 Surg. 1 Nippon Med. Sch.,3Lab. Mol. Med.,Inst. Med. Sci.,Univ.Tokyo, 4Dep. Surg., Cancer Inst. Hosp.,)
【目的】 Microsatellite Instability〔RER〕を示す腫瘍では,ゲノム不安定性の標的遺伝子中で1塩基のくり返し配列の数が変化するような変異が認められているが,乳癌に対する検討は未だ十分になされていない.
【方法】 我々は264例の乳癌患者を対象に,ヒト染色体上の18ヶ所のマイクロサテライト領域でRERを調べた.さらにRERを示す症例において,ゲノム不安定性の標的遺伝子における変異の有無を調べた.
【結果】 少なくとも1ヶ所でRERを認めたものは264例中10例(1.9%)であった.その10例における標的遺伝子の変異検索では,1例において,PTEN遺伝子Exon 8コドン321−323の(A)6配列で1塩基挿入によるフレームシフト変異が認められた.
【考察】 乳癌におけるRERは,今まで報告されているよりもかなり低い頻度であった.ゲノム不安定性を示す乳癌の一部において,PTEN遺伝子の体細胞変異がその癌化に関与している可能性が示唆された.