ABSTRACT 1513(P5-14)
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造血器悪性腫瘍におけるマイクロサテライト不安定性と標的遺伝子の検討:小笠原正浩, 斎藤雅雄, 比嘉敏夫, 笠井正晴((医)北楡会 札幌北楡病院 内科)

Analysis of microsatellite instability and its target genes in hematological malignancies: Masahiro OGASAWARA, Masao SAITOH, Toshio HIGA, Masaharu KASAI (Dept. of Internal Medicine, Sapporo Hokuyu Hospital)

【目的】DNAミスマッチ修復 (MMR)機構の異常は大腸癌などの固形癌に多くみられ、腫瘍化に深く関与しているが、造血器悪性腫瘍の発症と進展への関与は明らかでない。DNAミスマッチ修復機能低下の指標であるマイクロサテライト不安定性 (MSI)と、造血器悪性腫瘍の発症と進展への関連性を明らかにするため、今回我々は、白血病細胞株と骨髄異形成症候群 (MDS)のMSIとその標的遺伝子を検討した。【対象・方法】白血病細胞株11株 (骨髄性4株、リンパ性7株)。MDS症例はRA 9例、RAEB 3例、RAEB-T 4例、CMMoL 1例、MDSから移行した白血病7例の計24例を対象とした。MSIの標的遺伝子として、exon内に1塩基の反復配列を有するBAX、TGFβRII、hMSH3、hMSH6についてPCRにて増幅し、フラグメント長を検討した。また、MSIは骨髄血と毛髪からDNAを抽出し、5ヶ所のマイクロサテライト領域をPCRにて増幅し、反復配列長を検討した。【結果・考察】白血病細胞株の検討では、BAXで3株、TGFβRIIとhMSH3で1株、hMSH6で3株に塩基長の短縮を認めた。一方、MDS症例では24例中14例 (58%)にMSIを認め、陽性例についてBAX、TGFβRII、hMSH3、hMSH6の反復配列を調べたが、変異を認めなかった。以上の結果より、造血器悪性腫瘍の腫瘍化にMSIが直接関与していることが示唆されたが、MDSでは異なる機序が考えられた。