ABSTRACT 1515(P5-14)
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前立腺癌におけるアンドロゲンレセプターの遺伝子変異とCAGリピート数の検索 :小宮顕1、鈴木啓悦1、植田健1、古谷雄三、赤倉功一郎1、白石泰三3、矢谷隆一3、伊藤晴夫1 (千葉大・医・泌1、帝京大・市原・泌、三重大・医・病3)

Adrogen Recepter Mutation and CAG Repeat Number in Human Prostate Cancer : Akira KOMIYA1, Hiroyoshi SUZUKI1, Takeshi UEDA1, Yuzo FURUYA, Koichiro AKAKURA1, Taizo SHIRAISHI3, Ryuichi YATANI3, Haruo ITO1 (1Dept. Urol., Chiba Univ. Sch. Med. , Dept. Urol., Ichihara hosp., Teikyo Univ., 3Dept. Pathol. Sch. Med. Mie Univ.)

[緒言] われわれはすでに前立腺癌におけるAndorogen Recepter (AR)の遺伝子変異について報告してきたが、今回はさらに症例を増やして検討した。
[対象と方法] 病期BCの前立腺癌37症例、内分泌療法抵抗性前立腺癌の剖検36例、前立腺肥大症14症例について、正常組織あるいは末梢血WBC、癌の原発巣及び転移巣組織、肥大症組織よりgenomic DNAを抽出し対象とした。前立腺癌におけるAR遺伝子変異の検索は、exonB-HについてはPCR-SSCP法とDirect Sequencing法を用いた。exonAについてはCAG repeat領域のmicrosatellite instability (MSI)を検討した。またDirect Sequencing法を用いてCAG repeat数を算定した。
[結果] 剖検36例うち4例(11%)でAR遺伝子変化を認めた。このうち3例でmissence mutationを認め、1例は前立腺原発巣でexonDの変異を、転移巣ではexonHの変異を認めた。他の2例では、転移巣でやはりexonHに変異を認めた。これらの3例中2症例ではexonAのCAG repeat領域でmicrosatellite instability(MSI)が見られた。1症例でCAG repeat領域のMSIのみを認めた。CAG repeat領域のMSIを認めた症例では他の染色体上でもMSIを伴っていた。病期BC症例では、ARの遺伝子変化はなかった。CAG repeat数は、16回から31回で前立腺肥大症症例では平均21.1回、前立腺癌症例では平均22.7回であったが両群間に有意な差はなかった。
[考察] 以上から、AR遺伝子の変化はホルモン抵抗性と関連していることが示唆された。exonAのCAG repeat数の変化は、DNAの修復異常に関連したものであった。さらに前立腺癌症例と非癌症例との間でCAG repeat数の有意な差はみられなかった。