ABSTRACT 1521(P5-15)
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血管内皮細胞増殖因子(VEGF)のアポトーシス抑制機構の解析:高橋利明、加藤 修、小栗鉄也、蔵本 憲、三原圭一朗、平田 思、山木戸道郎、渡辺敦光広島大・第2内科、広島大・原医研・環境変異、同・血液内科、広島大・耳鼻咽喉科)

The analysis of suppressive effects of VEGF on radiation-induced apoptosis: Toshiaki TAKAHASHI1, Osamu KATOH2, Tetsuya OGURI1, Ken KURAMOTO, Keiichiro MIHARA, Shitau HIRATA4, Hiromitsu WATANABE1 (12nd Dept. Int. Med., 2Dept. Environ. & Mut. RIRBM, 3Dept. Hematology & Oncology, RIRBM, 4Dept. Otolaryngology , Hiroshima Univ.,)

[目的]我々は血管内皮細胞増殖因子(VEGF)がヒト白血病細胞株CMK86における放射線誘導アポトーシスを抑制することを見い出しているが、その分子機序を明らかにするために、CMK86細胞においてVEGF刺激により新たに発現誘導される遺伝子のクローニングをarbitrary PCR法により試みた。[方法]通常の培地(RPMI1640+10% FCS)にVEGF(50ng/ml)を添加したもので4時間培養して刺激したCMK86細胞および無刺激の細胞からそれぞれmRNAを抽出し、arbitrary primerあるいは degenerate primerを用いてRT-PCRを行い、VEGF刺激によりmRNA発現量の増加が認められたものを同定した。[結果および考察] 75クローンのPCR産物の解析を行った結果、6クローンにおいてVEGF刺激により発現量の増加が認められた。それぞれのクローンの塩基配列を決定した結果、3クローンはVDUP1、OZF、MCL1という既知の遺伝子と同一であったが他の3クローンは新規の遺伝子であった。MCL1遺伝子は、BCLファミリーに属し、アポトーシスに対して抑制的に働くことが推測されている。他のBCLファミリー、すなわち、BCL2、BCL-X、BAX、BADの発現量をノーザンブロット法、ウエスタンブロット法で検討した結果、いずれもVEGF刺激によって発現量の変動は認められなかった。従って、BCLファミリーの中ではVEGF刺激によりMCL1遺伝子の発現上昇が特異的に認められた。この遺伝子の発現上昇がVEGFのアポトーシス抑制作用に関与していることが示唆された。