ABSTRACT 1523(P5-15)
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BCR-ABL、E2A-HLFによるサイトカイン依存性アポトーシスの抑制は、caspase-3活性の低下を伴わない:新城哲治1、栗原亮子1,2、小澤敬也1,2、稲葉俊哉11自治医大・分子生物、2自治医大・血液)

Caspase-3 activity independent anti-apoptosis effects of the BCR-ABL and E2A-HLF chimeric oncoproteins: Tetsuharu SHINJYO1, Ryoko KURIHARA1,2, Keiya OZAWA1,2, Toshiya INABA1 (Depts. of Molecular Biology1 and Hematology2, Jichi Medical School)

common ALLから単離されたTEL-AML1、E2A-HLF両転写因子とBCR-ABLキナーゼのサイトカイン依存性アポトーシス制御機構に対する作用を検討し、発癌機序の分子生物学的な解析を行った。(方法)IL-3依存性マウスB前駆細胞株(Baf-3)にこれらの遺伝子をコードしたレトロウイルスを感染させ、同時に導入したCD8により発現細胞を選択、 IL-3非存在下に培養し、アポトーシスを制御する諸因子を分析した。(結果)親株とTEL-AML1発現Baf-3 細胞は、速やかにアポトーシスに陥ると同時に、Bcl-xLの発現低下、caspase-3活性の上昇、Rasの不活性化と、Ras下流でアポトーシス抑制に働くNFIL3/E4BP4転写因子の消失を認めた。BCR-ABL、E2A-HLFはいずれもアポトーシスを遅延させた。BCR-ABLはRas経路を活性化し、NFIL3、Bcl-xLの発現を促進したが、caspase-3活性の上昇を抑制しなかった。 E2A-HLFはNFIL3の病的カウンターパートであるが、Bcl-xL、caspase-3活性に影響を与えなかった。(考察)BCR-ABLとE2A-HLFはcaspase-3活性の上昇を抑制しない点が注目される。Ras/NFIL3を介する経路はBcl-2 family/caspase-3とは相補的な機序でアポトーシスを抑制する可能性がある。