ABSTRACT 1527(P5-15)
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膀胱癌におけるRBとp53遺伝子導入効果の比較検討: 高橋 玲1、水上民夫2、吉田哲郎2、菅 健治1、吉川清次1、胡 興柏1、八隅秀二郎1、関 賢二1、百瀬修二1 (1京大・医・腫瘍生物、2協和発酵工業・東京研究所)

Comperative analysis of RB and p53 transfection in the human bladder carcinoma cell line: Rei TAKAHASHI1, Tamio MIZUKAMI2, Tetsuo YOSHIDA2, Kenji SUGA1, Kiyotsugu YOSHIKAWA1, Kohaku KO1, Shujiro YAZUMI1, Kenji SEKI1, Shuji MOMOSE1 (1Dept. of Pathology and Tumor Biology, Graduate School of Medicine, Kyoto Univ., 2Tokyo Laboratory, Kyowa Hakko, Co. Ltd.)

RB遺伝子とp53遺伝子はヒトの癌において高頻度に異常が見られ、その機能は細胞周期の調節や細胞死の誘導などに関与していると考えられている。我々は今までに、ヒト膀胱癌培養株HTB9にRB遺伝子を導入し、in vitroとin vivoにおける細胞レベルでの変化を解析してきた。今回は、同株にp53変異が存在することに着目して、野生型p53遺伝子の導入における追加的効果を検討した。親株HTB9に野性型p53を安定性にトランスフェクションしたもの、さらには、RB遺伝子導入クローンである4HCl2についてハイグロマイシン選択性を利用して野性型p53遺伝子を追加導入したものについて解析を行った。すなわち、RB、p53それぞれあるいは両者ともに再構築された細胞を得た。いずれも外因性遺伝子の発現はRT-PCR法によって確認した。レーザスキャニングサイトメトリーによる細胞周期解析では無血清培養下でのG1停止およびアポトーシスの発生に遺伝子導入前後で著しい変化が認められた。軟寒天中のコロニー形成能およびヌードマウスにおける腫瘍形成能にも抑制効果の違いがみられた。RBとp53の安定性導入クローンを用いて、G1停止やアポトーシス誘導に重要な役割を果たしていると考えられるRBあるいはp53依存性反応経路の詳細な解析を進めている。