ABSTRACT 1574(P5-19)
AOM誘発ラットaberrant crypt foci (ACF) におけるβ-catenin遺伝子変異の検索: 山田泰広、吉見直己、松永研吾、川端邦裕、酒々井夏子、酒々井真澄、原 明、森 秀樹(岐阜大・病理)
b-catenin (CTNNB1) gene mutations in aberrant crypt foci induced by azoxymethane in F344 rats:Yasuhiro YAMADA, Naoki YOSHIMI, Kengo MATSUNAGA, Kunihiro KAWABATA,Natsuko SUZUI, Masumi SUZUI, Akira HARA, Hideki MORI (Dept. of Pathol., Gifu Univ. Sch. of Med.)
【目的】大腸癌においてAPC/β-catenin/Tcf pathwayの活性化にβ-catenin遺伝子変異が重要な役割を たすことが注目されている。我々は大腸癌前癌病変であると考えられるaberrant crypt foci (ACF)におけるβ-catenin遺伝子変異を検索し、このpathwayの大腸癌発生初期での関与を検討した。【方法】 6週齢雄F344ラットにazoxymethane (AOM)皮下投与(15 mg/kg体重、週1回計3回)によりACF及び、腫瘍を誘導し、40週後屠殺した。腫瘍は半割し、一方はDNA抽出に、他方は組織学的検討に使用した。ACFはメチレンブルー染色下に観察し、実体顕微鏡下で、くり抜いて切離した。抽出したDNA (腫瘍10サンプル、ACF 20サンプル) はPCR-SSCP法にて変異を検索後、異常バンドを再度PCR増幅してDirect sequencing法にて解析した。【結論】β-catenin遺伝子変異を腫瘍では4/10 (40%)に、ACFで3/20(15%)に認めた。変異はcodon 32と34に見られ、それぞれGAT→AAT、GGA→GAAであった。【結論】ラット大腸発癌初期にβ-catenin遺伝子変異が関与していることが明らかとなった。現在同じく発癌早期に関与していると考えられるK-ras遺伝子変異との関連を検索中である。