ABSTRACT 1577(P5-19)
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Tsc 2 mutant (Eker) rat腎癌から得られた性状(細胞接着性及び増殖性)の異なる2細胞株 LK9d(R) , LK9d(L)間のcDNA subtractionによる遺伝子群の単離・同定の試み:真嶋州一1,21,2、平山榕子1、小林悦子1、高井節夫1、大塚藤男2、樋野興夫1、(1癌研・研・実験病理、2筑波大・医・皮)

Isolation of genes subtracted between LK9d(R) and LK9d(L) renal cartinoma cells of Tsc 2 mutant (Eker) rat : Shuuichi MAJIMA1 , 2,Youko HIRAYAMA1, Etsuko KOBAYASHI 1, Setsuo TAKAI 1 , Fujio OTSUKA2, and Okio HINO 1 , (1 Department of Experimental pathology , Cancer Institute , 2 Department of Dermatology, Tsukuba University School of Medicine)

 Eker ratは遺伝性腎癌のモデルラットである。我々は本ラットの原因遺伝子が、ヒト結節性硬化症原因遺伝子である癌抑制遺伝子TSC 2のrat homologueであることは既に報告した。最近我々は両側に腎癌を発症した1匹のEker ratから、それぞれ細胞株を樹立し、LK9d(R),LK9d(L),と命名した。 この2つの細胞株は、いくつかの点で性状を大きく異にしている。まず、培養に際し、collagen coated plateを用いれば、ともに培養可能であるが、non-collagen coated plateを用いた場合はLK9d(R)のみ培養可能で、LK9d(L)は培養できない。細胞形態についてもLK9d(R)は類円形でflatな細胞形態をとるのに対し、LK9d(L)は紡錘形形態をとる。増殖速度は、LK9d(R)のほうが速い。Southern blot法では、rat 染色体5番に存在するp16/15領域が、LK9d(L)では欠失が見られないが、LK9d(R)では欠失していた。 northern blot法では、最近我々が別の系のcDNA subtractionで単離した細胞接着に関与すると思われる新規の遺伝子ERC (rat 染色体10 番 )の発現が、LK9d(R)では認められた。
 今回我々は、rat 染色体5番p16/15領域近傍で欠失している遺伝子群及び、ERC遺伝子発現制御に関与する遺伝子群の単離、同定を最終の目的として、まず、LK9d(R) とLK9d(L)の2細胞間でcDNA subtractionを施行し、発現に差異のある遺伝子の単離を試みたので、報告する。