ABSTRACT 1596(P5-21)
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病理組織から抽出されたDNAを用いた全ゲノム増幅のための検討: 伴貞幸、水野照美、林奉権、岩元奎介S、濱谷清裕、瀬山敏雄 (放影研・放生部)

Feasibility of whole genome amplification to immortalize DNA obtained from archival tissues. Sadayuki BAN, Terumi MIZUNO, Tomonori HAYASHI, Keisuke S. IWAMOTO, Kiyohiro HAMATANI, Toshio SEYAMA (Dept. of Radiobiology, Rad. Effects Res. Found.)

[目的]病理組織から抽出されたDNAは微量かつ貴重であるので、将来これらのDNAを用いた研究を進めるために永久的に保存する必要がある。いくつかの全ゲノム増幅法の中の一つであるDOP-PCR法は簡便であり、高い増幅効率を持つことが知られている。今回は、特に保存組織DNAを用いて本法の有用性について検討した。[方法]16人のヒト末梢血(PBL-DNA)および12ケのホルマリン固定パラフィン包埋組織から抽出したDNA (Arc-DNA)をDOP-PCR増幅し、各種遺伝子について解析した。[結果および考察]PBL-DNAでは主に3 kbp以下のフラグメントが、Arc-DNAでは1 kbp以下のフラグメントが増幅された。このDOP-PCR産物から、異なる染色体上の癌抑制遺伝子およびマイクロサテライト遺伝子の増幅が可能であった。しかしその増幅効率はDNAサンプルおよび増幅部位によって異なっていた。また、DOP-PCR増幅中に二次的な突然変異が誘発されないことを確認した。DOP-PCR法は保存組織由来DNAの増幅のための有用な方法の一つであることが示された。しかし、正確な全ゲノム増幅のためにはより広範な領域での検討、および他の方法(PEP-PCR法、tagged PCR法等)との比較が必要であり、これらについても現在検討している。