ABSTRACT 1605(P5-21)
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2-hybrid system を用いた癌抑制遺伝子Tsc1およびTsc2遺伝子産物に結合する細胞性タンパク質の単離・同定の試み:長谷川賢, 山下与企彦, 小林敏之, 樋野興夫(癌研・研・実験病理)

Isolation of proteins binding to the products of Tsc1 and/or Tsc2 genes using 2-hybrid system : Satoshi HASEGAWA, Yokihiko YAMASHITA, Toshiyuki KOBAYASHI, Okio HINO (Dept. of Experimental Pathology, Cancer Inst.)

ヒト結節性硬化症(TSC)は常染色体性優性遺伝する全身性多発性過誤腫を発生する疾患である。positional cloningによってその原因遺伝子であるTSC1およびTSC2が単離・同定されている。TSC1およびTSC2遺伝子は癌抑制遺伝子と考えられており、我々はTSC2 mutant modelである遺伝性腎癌を発症するEker ratを用いた腫瘍発生機構の研究に従事している。TSCおよびEker ratの腫瘍発生の分子機序を解明するためには、TSC1およびTSC2遺伝子産物の生体内における機能を明らかにすることが必要であり、現在までのところ、TSC2に関してはrap1GAP活性とrab5GAP活性が報告されている。しかしながら、これらの活性はあっても共にきわめて弱く、生体内における機能を反映しているのかは不明である。また、TSC1産物はcoiled coil regionがC末に見られる以外は機能的解析はほとんどなされていないのが現状である。TSC1とTSC2遺伝子変異による臨床症状は類似していることから、両遺伝子産物が関わる生体内での反応系は共通のpathwayが存在する可能性がある。今回は我々は、Tsc1とTsc2の両遺伝子産物が相互作用している可能性を鑑み、2-hybrid systemにより、1. Tsc1とTsc2産物の相互作用、さらに2. Tsc1、Tsc2産物に個別に結合する細胞性タンパク質の単離・同定を試みたので報告する。